
なんとなくMTV全盛時の産業ロックあつかいされてしまいがちなASIAですが、実はこのバンド、プログレファンにとっては垂涎もののえり抜きミュージシャンが集まったスーパーバンドだったりするわけです。
元キングクリムゾンのジョンウェットン、元バグルスで後に一時期イエスにも在籍したジェフダウンズ、元イエスのスティーブハウに、元EL&Pのカールパーマー、ときては期待するな、という方が無理、というもの。
いったいどんな音が出てくるんだろう、と胸躍らせた人は大量にいたはず。
ただし私は世代的にその中の1人であった、というわけではありません。
だって当時はまだケツの青い学生でしたから。
そもそもプログレ、という単語自体を知らなかった。
頻繁にMTVで流れるdon’t cryを聴いて、普通にいい曲だなあ、と思い、レコード買いに走った、というのが実状。
今現在も、その方向性は歌メロ重視のハードポップみたいな内容なのにも関わらず、変にプログレのフィールドで持ち上げられてたりとか、メタル雑誌に載ってたりとか扱いのよくわからない状態にあったりするんですが、当時の記事とかを読んでいると、やっぱり失望した人も多かったみたいですね。
そりゃこの4人からこんな音が出てくるなんて、誰も思わなかったことでしょう。
後にプログレを聴くようになった今現在の私の感覚に照らし合わせてみても、いや、これはないわ、と正直思う。
強引に解釈するなら、これはやっぱり70年代をけん引してきた当事者達による、プログレというジャンルの幕引きだったのでは、と私は思ったりもします。
楽曲を分解すれば、そりゃ一流ミュージシャンが集まって演奏しているわけですから、相応に見事なフレージングなり、鮮やかなフックなりあるわけですが、まあ、そこまでしてなにかを見出そうとしなくてもいいように私は感じてます。
素直にコンパクトで聴きやすい楽曲に身をゆだねればいいのではないでしょうか。
とりあえずジョンウェットンのポップセンスは見事に全面開花してるように思います。
1stもつぶよりの楽曲ぞろいで名盤。

3rd以降は主要メンバーが脱退したり再集結したりで、さっぱり実態がわからなくなるんですが、まあ、トータリティという意味ではやはりこの2枚じゃないでしょうか。
余計な情報を耳に入れないほうがかえって楽しめるかもしれません。
