日本 1973
監督 深作欣二
原作 飯干晃一
仁義なき戦いの続編、第二弾。
なんせ前作で多くの主要な登場人物たちが死んじゃったものだから、続きをやるはいいけど、どうするつもりだ?と思ってたんですけど、この時代のヤクザ稼業な連中のネタって尽きないみたいで、あれよあれよと新たなキャラが現れて性懲りもなく揉めだす流れで今回もシナリオは進行、これ永遠に続けられるな、とふと思ったり。
ちなみに前作で主演を努めた菅原文太演じる広能はあんまり出てきません。
ま、ああいう終わり方だったんで、あそこから話を膨らませるのも厳しいものがあったんでしょうね。
相変わらず金子信雄演じる山守組長がちょっかい出してはくるんですけど、組織からはみ出したヤクザもの(広能)がストーリーを大きく動かすような関わり方をできるはずもなく。
あんまり掘り下げるとアメリカン・ニューシネマみたいになってしまいますし、これはこれで多分正解だったんでしょう。
今作の主人公はどちらかというと北大路欣也演じる山中。
殺人鬼と呼ばれたイケイケの武闘派ヤクザなんですけど、やさぐれた跳ねっ返りが、いつのまにかその実行力で裏社会の有名人になっていくプロセスを巧みに描いてます。
本人にそんな気がなくとも環境や立場が人を変えていく、というのがまざまざと伝わってくる作劇は流石の一言でしたね。
きっと山中は最後まで「そこまでひどいことやったか?俺?」と思ってたろうなあ、と私なんかは思った。
女が絡んできたりするとなおさら。
私とは全く生き方の違う人物ですけど、この若さで惚れた女が居て、しかもそれが組長の姪で、それでも分別をわきまえろとか、そりゃ無理だ、と変に共感してしまった部分もありました。
また、若き日の北大路欣也が本当に演技巧者で。
最初、誰だかわからなかったんですよ。
やたら上手だな、この役者、と思ってたら、エンドロールのクレジットを見て仰天。
そりゃうまいはずだわ。
反して、私が気になってた千葉真一は微妙といえば微妙。
とんでもなく露悪的ではっちゃけた演技してるんですけどね、どこかヤクザものに見えないようにも感じられて。
なんだかハワイのポン引きみたいな衣装着てるんですよね。
時代性もあるかとは思うんで、見た人それぞれに印象は違うんでしょうけど。
やっぱり千葉ちゃんはアクションスターだよなあ、と少し思ったり。
今作も一応群像劇の体裁を保ってはいますが、道を踏み外してしまうことの容易さ、そして待ち受ける悲劇を描いた作品として、ヤクザ映画の枠組みに収まりきらぬドラマ性に焦点を絞ってるようにも感じましたね。
そりゃこんなの延々と見てしまうわと、このあと5作目まで発表されたことに納得。
しかし、この映画に出てる人も軒並み死んじゃったなあ。
思い入れ先行かもしれませんが、これだけのキャストは今の日本の映画界には居ない、と思いましたね。
なにげに成田三樹夫が出てて大喜びでございました。