バイオ・ハンター

1989年初出 細野不二彦
ソニー・マガジンズバーズコミックスペシャル

人間を怪物に変えてしまう「デモンウィルス」による怪事件を解決すべく暗躍する、越谷と駒田のコンビ(バイオハンター)を描いたオカルトアクション。

越谷がレトロウイルスの研究者で、駒田がデモンウイルスに感染しているにも関わらず、それを意思でコントロールできる特異体質の超人、という設定なんですけど、まーなんといいますか、兎にも角にも突っ込みどころが多すぎて。

ウルトラQ(特撮ドラマ:1966~)がやりたかったのか、それともゴーストバスターズ(映画:1984)がやりたかったのか、作者の意図は測りかねますが、おそらくね、本作を読んだ何人かの人は声を大にして訴えたと思うんですよ。

「デビルマン(永井豪)やないかーい!」って。

いやいや雷沼教授(デビルマンの登場人物)の妄言をそのまま物語の基本設定としてどうする!?って話でね。

そりゃ細かな差異がないとはいいませんよ、でも人間がウイルスのせいで怪物に変身するとか、いくら90年代とはいえ、もうほんと無理だから、とてもはいそうですかとは言えないから勘弁してくれ、って部類のネタであってね。

そりゃ、飽きもせず似たようなことをやってる漫画は今現在もたくさんありますよ、けどね、それがストーリーの骨子になってちゃあいかんと思うんですよ。

人体の構造的に、重力や力学を無視した形状に変化することは不可能だとみんな知ってるわけですから。

どうしても変化させたけりゃそこにブラックマジック(ハリポタでもなんでもいいけど)なり、人知を超えた超科学なりの介在が必要になってくる。

なのに「科学で解き明かせる事象」として、デモンウイルスを肯定してる段階でもうデタラメきわまりないわけでね。

いくら90年代だからって、許容できる範囲を超えてる。

これが通用するのはせいぜい60年代までですよ。

デビルマンですら、デーモンの未知の力によって融合した結果の変化、と位置づけてたわけですから。

私は細野不二彦を、手塚治虫の後継者と呼んでもいいのではないか?と高く評価してた時期があったんですが、この作品とジャッジに限っては「酔っ払ってたのか?」と疑いたくなるほど不出来だと思いますね。

そつなくこなしちゃいるんですけどね、そこをあえて評価するほどの新人でもないですし。

なぜかOVA化されてますけど、時代がこの手のグロくてエロなSF風味のバイオレンスを求めてただけで、使えそうなのは内容を問わずに片っ端からアニメ化してた、ってのが実情だと思います。

当たればオリジナル脚本で続編を、みたいな商売手法。

描きたくて描いたのではなくて依頼があった、ってことなのかもしれませんが、細野不二彦という大看板にドロ塗ってまでやるような仕事か?と私は思いますね。

実はSF得意じゃないのかも、と勘ぐってしまったり。

余談ですが越谷と駒田のコンビはうにばーしてぃBOYS(小学館:全1巻)にも登場してます。

もちろん役柄はぜんぜん違うんですけど、作者お気に入りのキャラクターだったんでしょうね。

・・・・なぜ、 越谷と駒田をうにばーしてぃBOYSだけのものにしてくれなんだ。

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