2005年初出 しりあがり寿
エンターブレインビームコミックス

スピンオフなのか番外編なのか、正統なる続編なのか、本書に関する情報がググってもさっぱり見つからないんで、どう位置づけたらいいものなのやらさっぱりわからないんですけど、ま、単純に「人気コンテンツなんだからまだまだいけるでしょう」みたいな算盤勘定か、と思ったりもします。
永井豪のデビルマンに準ずる新デビルマンみたいな。
そのあたりはデビルマンレディでもデビルマンサーガでもなんでもいいんだけど。
まさか弥次喜多でずっと食っていくつもりじゃあるまいな?!と、一抹の不安がよぎったりもするんですが、流石にそりゃないか。
やってることは真夜中の弥次さん喜多さんや弥次喜多 in DEEPとほぼ同じ。
シュールで幻覚的な珍道中を今回もナンセンスかつドラマチックに作劇。
唯一の違いは、なぜか弥次喜多両名とも黒々とした口ひげをはやしてることなんですけど、多分これ、なんの意味もないんだろうなあ。
何かありそうに見せかける目くらましでしょうね。
あらかじめ逃げを打ってる、と捉えることもできるかも。
決してin DEEPで描ききれなかったことを補完しようとか、そういうことではないんだ、みたいな。
わかんないですけどね、連載途中で意図が変わってくる場合もあるでしょうし。
とりあえず「つめた様」「ダンゴどろぼう」「糊の里」は作者らしい秀逸な小編だったと思います。
in DEEP本編に組み込まれてても全く遜色ない。
ただ、やっぱり弥次喜多をもう一度描くなら、その先には終着点としてのお伊勢さんが見えてこなきゃならない、と私は思うんで、あてどない旅の日々がどこか散漫に感じられた、というのはあった。
作者自身の集中力も最終話で完全に途切れてるな、と思いましたし。
尻すぼみ気味に終わってしまったin DEEPに、なんだか物足りないものを感じていた人にとっては、もう一度二人に会える予想外の棚ボタな一冊となりうるかもしれませんけど。
私はもう次に行ってほしい、と少し思いましたね。
多分作者は、この物語を終わらせることができないと思うんで、かき回すのはこれで最後にしてほしい、といらぬ懸念を抱いたり。
いや、ほんとに永井豪商法になっちゃうからさ。
弥次喜多の次に何を描くのか?を探るのは大変だろうなあ、と思いますけどね。