燃えよデブゴン/TOKYO MISSION

香港 2020
監督 谷垣健治
脚本 ウォン・ジン、ルイ・クーナン、ロナルド・チャン

かつてサモ・ハン・キンポーが主演し、日本でも人気を博した「燃えよデブゴン」のドニー・イェンによるリブート。

かつてのデブゴンシリーズとストーリー上の関わりは全くないらしく「よく知られたタイトルだから拝借した」と監督は語ってますが、いいのかそれ?と思わなくもないです。

つーか、それだとリブートでもなんでもないじゃん。

いやはや、香港だなあ。

谷垣健治が監督を引き受けたのも、別企画の太ったドニーのCMが好評だったんで、その流れでドニーに「やれ」と言われたからだとか。

もう、ドラマチックな裏話どころか身も蓋もなくてですね。

谷垣健治とドニーの関係は有名ですし、さしずめ、るろうに剣心シリーズで名を挙げた谷垣に「よくぞここまで頑張った、次の俺の主演作を監督してみないか」と直々に熱い依頼でもあったんだろうなあ、と私は勝手に思ってたよ。

なんでしょう、この行き当りばったりな感じは。

でもまあ、そうでなきゃハリウッドで名を挙げた当代随一のアクションスターがこんなアクション・コメディに出たりはしないよなあ(普通ならね)。

私は常々ドニーには、もう残された時間もあまりないのだから出演作を選んでほしい、年齢相応のキャリアを積み上げていってほしい、と思ってたんですが、話を聞いてる限りでは本人にあんまりそんな気がないみたいですね。

受けそう、というか、そこそこ客が入りそうだったらなんでもやりますよ、的な。

いやいや、芸人かよ!って。

ああ、なんだかこの人もジャッキーと同じ道を歩んでいきそう。

それでもファンだけどな。

で、本作なんですけど、まさにそのジャッキー出演作をまるごと模倣したようなコミカルな仕上がりで、少し驚かされた部分はありました。

ドニーがここまでふざけたキャラを演じたことって、過去になかったんじゃないですかね。

やはりブルース・リー直系のシリアスな役柄が多かったように思うんで。

それが新鮮といえば新鮮ではあったんですが、私が引っかかったのはなぜドニーがデブの着ぐるみ(特殊メイク)を施されてるんだ?という点。

デブゴンが滑稽味を差し置いて人気沸騰だったのは「デブのくせにやたら動ける、身軽であること」にあったと思うんですよ。

なんでこいつは贅肉をものともせずスピーディーなんだ、みたいな。

そのギャップが面白かったわけで。

ドニーが動けることはもうわかりきってますから。

腹に詰め物でもしてるんだろうなあ、ってのは誰が見ても一目瞭然。

それでいつもと変わらぬ高速アクションを披露されても、そりゃそうだろ、ってな感想しか抱けぬわけで。

デブだと設定するのならね、やはり肉が邪魔で思うように動けん、ってな演出が必要だっと思うんですよ。

なにかというとすぐに息切れしてしまう、とか。

取っ組み合いの最中に腹が減ってきて、元気がなくなるとか。

いつもとなにも変わらないんだもの。

あの体型でスルスル電柱登るわ、屋根から屋根へと飛び移るわで、全然デブの醍醐味?がねえじゃねえかよ!と。

出オチになっちゃってるんですよね。

出オチのまま最後まで引っぱる、という暴挙をこの映画はやらかしてる。

いや、もうデブなドニーは一度見て笑ったからもういいよ、早く作中で痩せさせてくれ、と何度思ったことか。

緻密に作り上げられた動作設計の細やかなアクションは、さすが谷垣(アクション監督は大内貴仁と言う人らしいけど。この人もドニーのチームの一人)と思いましたが、私は最後まで「デブなドニー」の違和感が拭えませんでしたね。

前作、スーパーティーチャー熱血格闘(2018)でも激しく腰砕けになった私ですが、今作もまた飛び道具、というのが正直な感想でしょうか。

ま、映画自体は当たったみたいなんで、制作側にしてみりゃ無問題なんでしょうけど。

余談ですが導火線FLASHPOINT(2007)とSPL狼よ静かに死ね(2005)のセルフパロディなシーンは腹を抱えて笑った。

こういうことができるセンスがあるならもう少しやりようがあったんじゃないか、と思うんですが、まあ、いいか。

ちなみに竹中直人は相変わらずの芸風で激しくスベってます。

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