2011年初出 ひらりん
徳間書店リュウコミックス 上、下
前作、のろい屋しまい(2006~)の12年前、妹のネネの子供時代から「のろい屋」を開業するまでを描いた続編。
なぜ姉のヨヨがネネと大きく年齢が違うのか?その過去にはなにがあったのか?が詳しく語られてます。
しかし、この人は本当に子供を描くのが上手だなあ、とつくづく思いましたね。
ヨヨもさることながら、ネネの子供時代なんて可愛すぎて、気分はもう孫を無制限に甘やかすおじいちゃん状態。
こんな子におねだりされたら、何でも買い与えてしまった挙げ句に首が回らなくなって自己破産してしまう、と思いましたね。
登場人物であるネネのパパの激甘ぶりがよくわかる。
ストーリーそのものは、ちょっとした子供同士の諍いが取り返しのつかぬ事態を招いしてしまう痛々しいものだったりするんですが、ファンタジックでふわふわした世界観と、悪人不在なキャラクターたちのおかげでそれほど悲惨さは感じません。
むしろなぜネネはああいう人物に成長したのか、そのバックボーンがよく理解できてドラマチックだったりする。
救いがあること前提でお話を進める難しさを、上手に逆手に取ったように思いますね。
それでもなにかせずには居られない人々の純真をうまく描けてた。
非現実なイマジネーションの豊かさや、魔法の国や剣の国といったいくつもの国家がせめぎ合う異世界の構築も相変わらず緻密で好感触。
また、これ延々と続編描けるんじゃないか?と思えてくるぐらい何かとアイディア豊富で。
番外のちょっとしたおまけマンガだけで一冊単行本が仕上がってしまいそうなぐらい饒舌なんですよ。
というか、描いてくれ、と。
ジブリアニメが好きな人とか、ど真ん中ストライクじゃないでしょうかね。
若干ね、なぜヨヨがああいうことになったのか、ロジックが弱い気もしましたが、魔法と少女という使い古されたネタでここまでオリジナリティの高いものを提示できたら上出来だと思います。
心優しく良質なファンタジーの最右翼たる一冊。
そりゃアニメにもなるわ、と納得のシリーズですね。