2013年初出 桑原太矩
講談社goodアフタヌーン 1巻(全4巻)
規律を守らぬ生徒を奉仕活動などで矯正する目的で運営する特別課外活動部(通称とっかぶ)に入部することを余儀なくされた問題児3人を描く学園コメディ。
本来、特別課外活動部とは、別の活動目的があって設立されたクラブなんですけど、いつしか顧問の教師がペナルティを課すための場として運用するようになった、というのが物語の前置きでして。
なんだろ、管理教育に物申す内容だったりするのかな?などと、私は考えたりしてたんですけど、1巻10ページ目にて早くも「あ、こりゃ違うわ」と思いましたね。
いきなりとっかぶの部室で待ち受けてたのは「私、ヒーローになりたいんです!」とのたまう女子高生。
んで「事件を探しに街へでかけましょう!」ときた。
そこからの展開は、とっかぶ部員がそれぞれの特技を生かして色んなトラブルに取り組んでいくご近所事件簿顛末記みたいなシナリオ進行。
いやこれ、ペナルティの課外活動か?と疑問に思うこと、うけあい。
なんだか昔の細野不二彦みたいだなあ、と思ったり。
良くも悪くもオーソドキシカルでオールドスクール。
特別課外活動部、という最初のお膳立ては思ってた以上におざなりだったりします(2巻以降で変わってくるのかもしれませんが)。
とんでもない不良とか、世をすねたニヒリストとかは登場してきません。
登場人物の誰もがお調子よく、ときには熱血に、笑いと友情の共犯関係、って感じ。
画力は確かだし、センスも悪くないんで、普通に読んでられるのは確かなんですけどね、なんでしょう、やはり突出するもの、オリジナリティに欠けるのが難点でしょうかね。
よくあるタイプの漫画、と言ってしまえばそれまで。
深刻にならざるをえない重々しさがあるわけでも、はらわたよじきれる笑いがあるわけでもない。
高い頻度で少年漫画的なクサさが鼻についたり。
ただ「上手い」のは間違いないんで。
凡百の漫画家がいくら努力してもたどり着けないであろう「上手さ」はすでに顕著。
その「上手さ」と物語性の釣り合いがとれたのが、次回作空挺ドラゴンズ(2016~)なんだろうなあ、と思います。
空挺ドラゴンズのファンが後追いして読む分にはいいかもしれませんね。
私は1巻でもうお腹いっぱいですけど。