2012年初出 六道神士
少年画報社ヤングキングコミックス 全2巻
彼女と想いが通じた時点で、彼女が死んでしまう運命を背負わされた男子高校生の永遠にループする毎日を描いたSF。
蝶がモチーフになってるあたり、バタフライ効果を暗示してるのかな?しいてはバタフライ・エフェクト(2004)なのかな?と思ったんですが、内容的には恋はデジャ・ヴ(1993)に近いものがあるかもしれません。
まあ、前出の映画よりもシニカルで、遥かにギャグタッチですけどね。
どっちかというとゲーム世代に親和性の高い設定、といえるかもしれません。
一体何をどうすればこの袋小路から抜け出すことができるのか、仕掛けた人間の意図をさぐれ!みたいな。
なんか狂言回しというか、黒幕みたいな存在のお姉さんが居るんですよね。
いったい何を考えてるのか、さっぱりわかんないんですけど。
死が蔓延してるストーリーではありますが、暗さはほぼありません。
なんせ次の瞬間には場面が切り替わってヒロイン、生き返ってますんで。
むしろ生き返るのをいいことにやりたい放題、悪ノリしまくってパロディやらシュールな笑いやら意図的にガンガンぶちこんでる感じ。
それがファンには楽しい、ってのはあるんですけど、さすがにね、単行本2巻分もたいした進捗なくお笑いでお茶を濁されるばかりなのもしんどい、ってのも正直な話でして。
最初からギャグ漫画ならそれでもいいですけど、謎めいたシーンとか、思わせぶりな展開とかありますんで。
もういい加減どういうことなのか、少しづつでいいから明かしていってくれよ、と思ってしまう。
で、最悪なのは、最終話を読んだ後ですら結局どういうことだったのかよくわからない、というのがこの作品の最大の難点でして。
作者が楽しんでただけかよ!と、思わずつっこみそうになってしまう。
おぼろげに六道神士の考える物語の着地点が見えなくもないんですけど、この有様ではほとんどの読者がスッキリしないだろうと思いますね。
ファン向けでしょうかね。
相変わらずボケとツッコミを硬軟自在にあやつる台詞回しのセンスは秀逸なんで、嫌いではないですが、もうちょっとちゃんとやれるだろ、と思ったことも事実、といったところでしょうか。