アカンプリス

2009年初出 六道神士
少年画報社TSコミックス

お家のやんごとなき事情や、家督の問題で、やむなく女装して女子校に通っている男子3人と共に、生徒会運営を無理やり押し付けられたヒロインの迷走、慌てっぷりを描いたコメディ。

しかしこれがいわゆる男の娘やクロスドレッサー(TSも含まれるのかな?)をテーマにした季刊誌、チェンジHに連載されてた、というのが笑うしかないですね。

だって女装してる主要キャラ男子三人、どこからどうみても筋骨隆々とした男なんですよ。

特に生徒会長の朱雀大路光子なんて、WWEの悪役レスラーかよ!ってな風貌ですから。

とても男には見えない美しすぎる男子が好きな人や、自分とは違う性に憧れを抱く人が読むであろう雑誌で、こうも醜い現実を突きつけるかのようなおちょくった漫画を、よくぞ連載できたことよな、と少し感心したり。

いくらその手の雑誌だからって、安直に迎合するようなことはしねえぞ!とする作者の気骨が透けて見えるようですね。

こういうひねり方、変化球投手ぶりは私、大好きでして。

面白くないわけがない。

学校に通う女子高生全員が生徒会役員は男と知っていながら、あえて女として扱って退屈しのぎとする設定もいい。

すべてが壮大な茶番なんですね。

古い話で恐縮ですけど、こりゃ永井豪のおいら女蛮(1974~)のバージョンアップ版だ、と思ったり。

物語にそれなりの着地点が設けられてるのもよくできてる。

全1巻の小品ですが、秀作だと思います。

ちなみに作中で登場する学園の秘密結社、櫻の園は後の作品、スーパーカルテジアンシアター(2016~)にも登場します。

作者のお気に入りだったんでしょうね。

トランスとか気にしなくても楽しめる一作だと思いますね。

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