別式

2016年初出 TAGRO
講談社モーニングKC 1~2巻(全5巻)

江戸時代に流行した別式女(女性剣士の武芸指南役)を主人公に据えた時代劇。

もちろん作者が作者ですし、絵柄も変わってないんで、真っ当な時代劇になるはずもなく、現代用語やスラングがばんばん飛び出してきますし、当時ではあり得なかったキャラの性格設定や今風の行動様式等「江戸時代風ファンタジー」な内容になってるんで、間違っても平田弘史とか小池一夫とかを期待してはいけません。

誰もそんなの期待してねえよ。

近作で言うなら恋情デスペラード(2015~)に近い感じですかね。

あそこまで時代劇的世界観をぶっ壊してはいないですけどね。

ま、作者らしいな、とは思うんです。

思うんですけど、やっぱりね、この絵柄で血飛沫飛び散るチャンバラアクションもこなしてみせます、ってのはいささか無理があるような気が私はするんですよね。

時代劇ラブコメならともかく、恩讐の果ての感情のもつれを、刃傷沙汰になりかねぬ重苦しさで描写したりしてますから。

シンプルに作画とマッチしてない、と思ってしまう。

あと、深刻になればなるほど浮ついたポップなアプローチが邪魔になってくるというか。

コメディなら許容できたものも、シリアスなドラマとなると、俄然物語が嘘くさくなってきちゃうんですよね。

時代性を都合よく我田引水しすぎじゃないか?みたいな。

本格的にやるべきだったというわけではないんですけど、なぜこのテーマを時代劇でやらなきゃいけなかったんだろう?と疑問に思えてきてしまう。

どうせシリアスにやるなら、別式女ならではの悲哀に焦点をあててほしかった、と思うのは、私が時代劇ファンのせいなんでしょうけど、それにしてもなにやら物語と手法がちぐはぐな気がして仕方ない、というのが正直なところでしょうか。

2巻にて頓挫。

宇宙賃貸サルガッ荘(2001~)を読んだときは天才!と思ったんだけどなあ。

またSFを描いてほしい、と思うんですけど、SF売れないし、無理強いできないのが辛いところ。

挑戦的な意欲作だとは思うんですけどね。

ファンにはおおむね好意的に迎えられているみたいです。

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