2006年初出 TAGRO
講談社モーニングKC 1~2巻(全11巻)
作者の名を一躍知らしめた出世作。
後にアニメ化もされたみたいですね。
よくまあアニメ化できたものだ、と思ったりもしますけど。
この作品があったからこそ宇宙賃貸サルガッ荘(2001~)も新装版が発売されるに至ったんだなあ、と思うと、腰を据えてじっくり内容と向き合いたいところですが、いやー、きつい。
酸いも甘いも噛み分けた耄碌ジジイである私のようなポンコツであってすら、この漫画はきつい。
変態生理ゼミナールと呼ばれる大学の講座に所属する主人公コムギに惚れてしまったヒロイン菜々子が、なんとかコムギを振り向かせるために彼のアブノーマルな性癖に答えていこう、とけなげな努力をするラブコメなんですけど、なにかとドギツすぎて笑えない、ってのがまずあって。
屈折した性癖をポップに明朗化することが、自分の異常性に悩む諸氏を勇気づける効果はあったのかもしれませんけどね、前提として気持ち悪い、ってのがどうしても拭えなくて。
そもそもですね、異常性癖なんてものは淫靡でアングラだからこそポルノであったり、官能小説の題材になりえたわけで。
それを白日のもとにさらして全肯定した日にゃあ、エロスが欠落して異常性しか目の前には残らないわけですよ。
それこそが面白い、と思える人って、どんなスペシャリティなオールラウンダーなんだよ!って話で。
ハッピーになりようがないと思うんですね、なにをどう引っ掻き回したところで。
作者の絵柄だからこそ成立した部分はあると思うんですが、こんなの、つっこめばつこっむほど泥沼でしかないんじゃないかと。
いわゆる猟奇もの的な顛末をたどるしか、お話を結びようがない気がする。
際どいラインで上手に笑いに転化してるのは認めますが、深堀りした時点できっともう身動き取れなくなると思いますね。
だって救いようがないですし。
当事者同士に任せておくしかない案件ですから、これって。
2巻にて頓挫。
しかし、これが長期連載に至ったって、つくづくすごい時代だなあ、と思います。
サルガッ荘で作者のファンになった人はある意味呆然かもしれません。
駄目だとは言いませんが、テーマの際どさが物語のノリのせいで嘘くさくなっちゃってるようにも感じました。
私はちょっとついていけなかったですね。