アメリカ 1997
監督 ポール・アンダーソン
脚本 フィリップ・アイズナー
西暦2047年、海王星付近で消息を絶った宇宙船イベント・ホライゾン号捜索のため、地球を飛び立ったルイス&クラーク号の乗組員が遭遇する、予期せぬ不可解な現象を描いたSFホラー。
低予算で見栄えのする映像作りが定評のポール・アンダーソンが監督を努めてるだけはあって、ビジュアルはなかなか侮れないものがありましたね。
宇宙船内部の造形や、宇宙空間を航行する宇宙船の近影等、今見てもさほど古びてないように思えるのは大したもの。
操作盤がタッチパネルや非接触型じゃなくて、ボタン式だったのはご愛嬌でしたけどね。
ワープドライブ航法を真剣に語ってて、それがストーリーの核になってるのもSFファンとしちゃあ懐かしい限り。
重力制御による新航法システムとか、よくわからんことを劇中では言ってますけど、空間を点と点で結ぶ、などと説明されると、古き良きSF作品が次々と思い出されてなんだか不思議とテンションが上がってきたりも。
ま、私だけでしょうけど。
公開当時、一度見てるはずなんですけどね、当時、どう感じたのか全く記憶にないのはなぜなんだろう?と改めて思ったりしましたね。
見進めていくうちにそれも判明するわけですが。
とりあえず中盤ぐらいまでの進行は、SFホラーとして申し分のない出来だった、と思います。
やがて、海王星付近でようやく発見したイベント・ホライゾン号はなぜか無人。
なのに不可解な生体反応がある。
同時に、複数の乗組員を襲う幻聴と幻覚。
いやもう、何が起こってるんだこれ!と俄然前のめりですよ。
まさか惑星ソラリス(1972)みたいなネタじゃないよね?禁断の惑星(1956)みたいなのもアウトだからな!と身構えていたら、想像を軽く横切って予想外のオチが待ち受けておってですね、あなた。
あれ?と。
うーん。
駄目とは言いませんよ。
でもねえ、やっぱり安直だと思うんですよ、私は。
これって言うなれば「事象の地平線」の向こう側を覗いてきた、ってことだと思うんです。
素直に受け取るならね。
それをたかが宇宙の片隅の太陽系第二惑星に住む、猿の近縁種の善悪二元論で片付けてしまうのはどうなんだろう、と。
宇宙が恐ろしく所帯じみてしまった、というか。
閉鎖空間での恐怖を描く、という意味ではこのぐらいシンプルでわかりやすい方が共感を得やすいのかも知れませんが、想像性は完全に閉ざされてしまいますよね、これだと。
記憶から飛んでいたのも納得。
エイリアン(1979)の系譜に連なる力作だとは思うんですが、アイディアの凡俗さが賛否を分けそうですね。
余談ですが、なぜかシャイニング(1980)を思い起こさせるようなシーンがあったりしたんだけど、どういうつもりだったんだポール・アンダーソン。
2001年宇宙の旅(1968)ならまだしも。
あと、アド・アストラ(2019)にものすごく似てる(オチ以外)と思ったんですけど、A24はなんか企んでたりしたんですかね?原作が同じってわけじゃないみたいだしなあ。
わからん。