オーストラリア 2018
監督、脚本 キア・ローチ=ターナー
太古から続く、悪魔とネクロマンサー(魔術師)の戦いを、ハイテクや電脳空間まで持ち出して現代的に料理したSFファンタジー。
今更、悪魔と悪魔ハンターの戦いとか、根幹となるネタそのものははっきり言って陳腐なんですけどね、一見そうは見えないように、あれこれ工夫されてるのがこの作品の良点でしょうね。
悪魔が効率化を目論んでスマホ・ゲーム経由で人類の魂を喰らおう、と画策する設定とか、ネクロマンサーが超心霊学とでも言いたくなるような知識でもって、オーバーテクノロジーなマシンを開発し、実際に使ってたりとか。
小道具がやたら凝った作りなのも感心。
普通に銃とかかっこよかったり。
なんだか妙にサイバーパンクな世界観なんですよ。
オカルトなんだけど、オカルトを疑似科学で全部解析してしまおうとする節がある。
こういう試みは私、割と好きな方でして。
思ってた以上にCGや特殊メイクがちゃんとしてるのにも驚かされました。
ちゃんとお金かけてる。
誰がこんなマニアックな映画に出資してるんだ?!と思わなくもないけれど。
ま、ぶっちゃけやってることはゴースト・バスターズ(1984)に限りなく近かったりはするんですけど、親殺しの神話を思わせるシリアスなシナリオ進行があったり、ほのかにラブロマンス風だったりと、脚本がしっかり練られてるんで、あまり強い相似性は感じなかったりはしますね。
ただ、ちょっと詰め込みすぎなきらいはありますね。
あれよあれよと物語が進んでいくものだから、主人公がどういう人間なのか、最後までよくわからなかったり。
ただ流されてそこにいるようにも見えてくる。
それは他の登場人物にも言えていて。
役割を全うしているだけなようにも思えてくるんですよね。
監督は相当なオタクだと思うし、オタクだからこその豊富なアイディアや情熱がいい意味で作品に反映されてるのは間違いないんですが、うん、いいからちょっと落ち着きなさい、と。
あえて引き算することで、よりテーマが明確になることもあるのだから。
決して一級品の映画というわけではないですが、この監督が「客観性と整理整頓」を身につけたらすごい作品を撮るかも、と思ったりはしました。
余談ですが、主人公が防護スーツを身に着けた姿がアイアンマンを演じるロバート・ダウニーjrにそっくりだったんですけど、これはご愛嬌か。
モニカ・ベルッチがやたら妖艶で、完全に他の女優が位負けしてたのにちょっと笑いましたね。