日本 2019
監督 江口カン
原作 南勝久
ヤングマガジン連載中の漫画を映画化した作品。
裏社会では伝説的存在である凄腕の殺し屋が、殺人を禁じられ、一般社会で普通に暮らすことを強要されるお話。
私は原作を読んでないので断言できませんが、これ、コメディのプロットだよな、と思ったんですよね。
浮世離れした殺し屋の、ズレた日常生活を面白がるパターン。
ギャップを楽しむお笑い、というか。
なので岡田准一の演技がね、ちょっと硬いかな、という印象は受けたんです。
高い演技力を備えた人であることは、来る(2018)で理解したんですけど、なんだろ、笑われることにはあんまり慣れてないのかな、みたいな。
監督はコミカルなアクション映画にしたかったみたいですが、そもそもが荒唐無稽な設定ですんでね、あんまりシリアスにやられても困る部分はあるわけで。
仏頂面は堂にいったものでしたが、狼狽や動転を見せることってあんまりなかったんで、表情がない風にも感じられるんです。
本当に細かいニュアンスの話なんですけどね、笑わないキャラであっても目の動き、唇の歪め方ひとつで感情は伝わるものだと思うんですね。
そのあたり、ファブルというキャラについて幾分未消化気味だったかなあ、と。
これで許されるのは往年の高倉健ぐらいのものだと思うんですよ。
ギャップが大きな笑いにつながっていかないんですよね。
結果、必然的にアクションシーンへと目が向くこととなる。
岡田准一、なかなかの体捌きです。
運動能力高いなあ、と素直に感心した。
けどねえ、これもねえ、撮り方があんまり私の好みじゃないんですよね。
細かいカットをつなぎ合わせてスピード感を演出する手法は、動きの連続性を把握できないからテンションあがらないんですよね。
ボクシングでも総合格闘技でも何でもいいんですけど、試合前の煽りVTRを見てる気分になるんです。
本番はいつ始まるの?みたいな。
総じて、どの方向へも突き抜けない一作になってしまった気がしますね。
決して悪くはない、悪くはないんですが、なんだか温度が低い、そんな風に私は感じました。
軽く笑えて、そこそこ目を引くアクションもあるという意味では、疲れずに見れる娯楽作として優秀なのかもしれませんけどね。
岡田准一はちゃんと演技できる人なんだからさらなるステップアップを目指して、もっと挑戦を、と少し思いましたね。
あと、オープニングの連続射殺シーンで話題になった画面にマーキングですけど、私はただただ見にくかったですね。
表示時間がコンマ数秒長い気がしました。
老眼がついていけてないだけかもしれませんけど。