2017年初出 石井明日香
講談社アフタヌーンKC 1巻(全2巻)
小笠原周辺の小さな離島に単身赴任してきた若い教師が遭遇する、超自然的な体験を綴ったファンタジー。
非常に画力は高いです。
人物や背景は言わずもがな、人の理解の及ばぬ存在を絵で表現することにも長けてます。
作画を見てるだけでぐいっ、と作品世界に引き込まれるものがありますね。
キャラクターの立て方も上手だし、離島の何気ない日常を「不思議」で彩る手管も巧み。
漫画家としての力量は申し分ないように思いますね。
ただね、残念ながら、プロットそのものが割と「ありきたり」だったりしまして。
簡単に言っちゃうならこりゃジブリだな、と。
自然そのものに対する畏敬の念を、アニミズムよろしく具象化してみせる手法はこれまでさんざん色んな人達が色んな作品で使いまわしてきましたし、それこそ漫画に限らず他の媒体でも定番のテンプレートとして扱われてきたように思うんです。
それこそ遡れば民話まで行き着くと思うんですよ、この手の物語って。
今、あえておとぎ話風のファンタジーがやりたいなら、プラスアルファが必要だろうと。
で、それがないんです、この作品には。
真正面から直球勝負なんですよね。
そりゃ太刀打ちできませんって、化け物みたいな先達がこの手のジャンルにはうじゃうじゃいるんだから。
せめて離島でスローライフな感じじゃなきゃまた印象も変わったんじゃないか、と思うんですが・・。
才能ある人だと思うんで、次作で仕切り直しを。