アメリカ 1969
監督 サム・ペキンパー
脚本 サム・ペキンパー、ウォロン・グリーン
サム・ペキンパーの傑作西部劇と名高い一作。
西部劇に引導を引き渡した「最後の西部劇」とか言われてるらしいですが、これ、時代背景に詳しくないと分かりづらいです。
特に私みたいな西部劇に慣れ親しんでない人間からしてみたら、1910年代なかばには西部劇によく登場してくる強盗団がもう活躍しにくい時代になってた、なんて言われなきゃわからない。
だから主要登場人物である強盗団であり、それを追うかつての仲間がなぜじじいというか壮年の男ばかりなのか、よくわからんわけですね。
どうやら強盗団は最後の仕事で荒稼ぎをして引退したい様子なんですが、それを「単に老いたからなのかなあ」と思ってると、間違いなく作品の魅力は半減しますね。
オープニング早々、派手な銃撃戦があるんですが、そこからあとの流れがなんだかあんまりテンポがよくないなあ、盛り上がらねえなあ、と感じたり。
ま、わかってないからなんですけどね。
結局、この作品で描かれてることって「滅びの美学」なんですよね。
強盗団が心の奥底では何を望んでいたのか、それを推し量ってやることができないと、エンディング間際でなぜ強盗団のリーダー、パイルがあのような無謀な選択をしたのか、さっぱり理解できない羽目になる。
ぶっちゃけ、西部劇全盛な時代に映画を見てた人向けの作品じゃなかろうか、と少し思ったり。
ただ、それを差し置いてもペキンパーのこだわりは随所に散見されて、見るものを飽きさせない工夫がある、と言わざるを得ない。
「死のバレエ」と異名をとった最後の壮絶な銃撃戦は今見ても全く色あせてないです。
スローモーションを多用したシークエンスなんて、一体どれほどの数の映像作家が真似てきたことだろうと思いますし。
パイルがホルスターに収めたまま抜かなかった拳銃に目線を向ける演出も心憎い。
中盤での橋梁爆破シーンも大迫力でしたしね。
序盤のサソリvsアリのシーンも、後から考えるなら非情に暗示的。
背景を理解した上でもう一度ちゃんと見るべき映画かもな、と今感想書いてて思ったりします。
勧善懲悪なわかりやすい西部劇でないことは確かですね。
そこに何を見出すかは予備知識も必要、といったところでしょうか。