死霊館 エンフィールド事件

アメリカ 2016
監督 ジェームズ・ワン
脚本 チャド・ヘイズ、ケイリー・W・ヘイズ、ジェームズ・ワン、デヴィッド・レスリー・ジョンソン

死霊館 エンフィールド事件

死霊館(2013)の続編。

前作でも登場した心霊現象研究家ウォーレン夫妻が再登板してます。

どうやら制作陣は、死霊館シリーズをウォーレン夫妻の関わった怪異の心霊事件簿としてナンバリングしていきたいようです。

よくある試みではありますが、70年代に実在した人物と実際に起った事件を題材にして連作してるのが妙案だ、と言えなくはないかもしれません。

前作同様、ほんとにこんなことがあったの?と興味を惹かれる部分はやっぱり大きいですし。

脚色はもちろんあるんでしょうが、実話の強みを上手に利用してるのは確か。

やっぱりね、いきなりアミティビル事件を物語の導入部として使われたりするとですね、ホラーファンは色めき立ってしまうわけですよ。

おお、これ悪魔の棲む家(1979)じゃん!みたいな。

悪魔の棲む家本編にウォーレン夫妻は出てきませんが、実は関わってたんだ!ってことを本作によって知ることができたりするわけです。

現在ではアミティビル事件そのものが狂言であった、みたいな認識がされてますが、それもウォーレン夫妻の目線で測るなら違う、と再度検証する役割をさりげなく担ってたりもするのが、これまた心憎い。

また同時に、あえてアミティビル事件を取り上げることにより、夫妻への蔑視であったり、無理解を強調する意図があったとも言える。

これ、後半の展開で活きてきます。

さて突然ですが、この手のシリーズ物で最大の敵はなにか?

答えは簡単、マンネリですよね。

幽霊屋敷を題材にしてる以上、お話の進め方はどうしたって似通ってくるし、祓うことそのものが解決を意味するのは避けられない。

あっと驚くオチ、予想外の着地点を用意することが性質上、非常に難しい。

そこをどう打破していくのか?が今回の課題だったと思うんですが、ジェームズ・ワンはストーリーそのものに意外性を忍ばせるのではなく、ドラマを丁寧に練り上げることで目先を変えてきたと言っていいでしょう。

力点が置かれているのは、物事の理の外側にある「超常」という名の不可解さに、手探りで挑む人たちの助け合いであり、結びつき。

たった一人の理解者がいれば、世間から石持て追われようが戦える、とした終盤の落とし所は見事だったと思いますね。

ホラーの位相からはずれてしまったかもしれませんが、大事なのはどう解決したかではなく、結果としての平穏なんだとした結末は、主義信条や常識にとらわれがちな現代人の盲点をついていたような気もしますね。

真贋はわかる人だけにわかればいい、という吹っ切り方が小気味良い。

というか、ごく普遍的な「色眼鏡、偏見に抗する人たちの物語」になってて私は少し驚いた。

秀作だと思います。

ホラーなのに、ほのかに感動的なんてなかなかないと思いますよ。

一作目以上のものを作り上げてきたことは間違いないでしょうね。

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