アオイホノオ

2007年初出 島本和彦
小学館少年サンデーコミックススペシャル 1~9巻(以降続刊)

作者本人の、漫画家を志した学生時代を自伝風にまとめたエッセイ漫画。

主人公の名前は焔燃と改変されており、一応作中の時系列に沿ってお話が進んでいくんで、エッセイとはまた違うのかもしれませんが、私の感覚では西原理恵子あたりのやり口とまあ近い感じかな、と。

すでに過去、吼えろペン(1990~)という作品で現在進行系の自分を漫画にしていたらしいんですが、私は未読。

位置づけとしては吼えろペンの主人公の学生時代、という設定らしいです。

内輪ネタというか楽屋落ちみたいなものでしょ?といってしまえばそれまでかと思うんですが、作者と同じく80年代が青春だった人にとってはなにもかもが懐かしくてほくそ笑んでしまう内容ではありますね。

高橋留美子やあだち充が実名でバンバン登場してきて、しかも作品をゆるくこき下ろされたりもしてるってのが笑えます。

暑苦しく全力で空回りな作風はいつもどおりなんで、ファンは普通に楽しめるんじゃないかとは思いますね。

ただ、私は島本和彦の炎の転校生(1983~)や逆境ナイン(1989~)が好きだったんで、できることならオリジナルの新作を、と思ったりもします。

お茶を濁してるとまではいいませんが、これってね、最後のカードだと思うんですよ。

次、なにやるの?ってなったとき、もう手札が残ってない気がするんですよね。

自伝とかやっちゃったら。

この作品を引退作にするなら別ですけどね。

あと、いかにノスタルジーとはいえ、延々80年代から話が進まない、っても流石に飽きてくる。

私は9巻で頓挫。

ここまで長期連載してる自伝漫画というのも他にないと思いますし、その立ち位置は漫画界でも稀有だと思いますが、80年代を知るオタク層もどんどん年取っていくことを考えるなら、連載を続けることも時間との戦いか、と思ったりします。

いつか完結を迎えたあと、島本和彦はどうするのか、それを注視したい気持ちですね。

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