2016年初出 志名坂高次/粂田晃宏
日本文芸社ニチブンコミックス 1~2巻(以下続刊)
製薬会社一行が社内行事で登山中に突然猿の化け物に襲われ、生き残りをかけたサバイバルを余儀なくされるパニックホラー。
うーん、猿なあ・・・。
受ける印象は人それぞれかと思うんですが、私は「猿」ってのにどうにもひっかかってしまいまして。
猿、怖いか?という。
人と背丈の変わらぬ異形としてUMAっぽい不気味な作画で描かれてるんですけどね、しょせんはエテ公ですしね。
これが熊とかだったら問答無用で怖いですけど、猿って近縁種だし、なんかどうにも軽い感じがして仕方がないというか。
あえて殺戮者を猿としたのは、物語がホラーにもサスペンスにも自由に進めるよう、計算した上での設定なのではと思ったりも。
わかりませんけどね、私の感覚だと、計算のようにも思えてくるプロットが集中力を阻害していたことは確か。
やっぱりね、山で異形に襲われて生き残りサバイバル、といえばホラーの定番なわけですから恐怖を抽出することに全力をそそいでほしいわけですよ。
恐怖はそこそこに、あとはひょっとしたら裏があるかもしれない人間同士の醜い争いをお楽しみください、って、あんまりのれないんですよね。
そもそも猿が襲ってくる、って事自体が荒唐無稽なわけですから。
そこを全力でもっともらしく恐怖で彩ってくれないと、凡百のシチュエーションスリラーと同じになっちゃう。
またこんな感じ?ってなもの。
登場人物のキャラがわかり易すぎるほどに極端な定型なのも気になった。
どいつもこいつもペラペラなんですよね、人格が。
特に安斎なんて暴力への禁忌がなさすぎるサイコ野郎で笑ってしまうレベル。
猿より遥かに怖ええよ!って。
なにか仰天の展開が後には待ち受けてるのかもしれませんが、私は2巻で頓挫。
こういうのって、まだそこそこ売れるんでしょうけど、もうそろそろ違うアプローチのものも登場してほしい、と思う昨今でございます。