イギリス 2018
監督 ジョニー・ケヴォーキアン
脚本 ギャヴィン・ウィリアムス
家ごと謎の黒壁に閉じ込められた一家の混乱と焦燥を描いたSFホラー。
どっちかというと不条理スリラーというか、シチュエーションホラーみたいな設定ではあるんですが、これが実はSFだった、というのがこの作品のミソ。
ま、たいしたミソでもないんですけどね。
最大の難点は『家ごと黒壁に囲まれて閉じ込められる』というありえない状況と、『SF』が上手につながってないことでしょうね。
異星人でも妖怪でもなんでもいいんですけど、一家を囚われの身とした『なにか』の目的意識や計画性がね、最後までまるで不透明なままなんですよ。
伏線らしきものやばらまかれた謎が、全く解き明かされぬままエンディングを迎えるという。
とってつけたようなオチが一応あるにはあるんですけどね、それだけのためになぜここまで手の混んだことをしなきゃならない?って話であって。
あまりに非効率、あまりにコスト度外視、あまりに意味不明。
なんなんだこの回りくどさは!とお怒りの諸兄も決して少なくはなかったでしょうな。
だってやってることは結局CUBE(1997)から一歩も進んでないですし。
要は一家を閉じ込めて本性むき出しで争わせたかっただけ。
また登場人物が本当に頭の悪い俗物ばっかりで。
理知的にありえない状況を検分し、打開策を練ることのできる人物が一人もいない。
見ててイライラが募ることこの上なし。
追い詰められた人間の切迫した心理状態を上手に描けてないシナリオの不備もあるかとは思うんですが、それにしたってスラッシャー映画なら最初の10分で全滅してそうな連中を主役に据えて密室劇をやらかすって、どういう考えがあってのことなんだ?と思いますね。
SFとミスマッチの妙を演じたかった意図はわかりますが、細部を詰めきらぬまま大枠だけで出来上がったつもりになられても困るわけです。
実はちゃんと考えてなかっただろ?とつっこめてしまう。
凡作でしょうね。
いかにもな低予算映画といったところでしょうか。