鉄腕バーディー

2003年初出 ゆうきまさみ
小学館YSコミックス 全20巻

宇宙人同士の争いの巻き添えを食って肉体が半壊した主人公高校生が、異星人である女性連邦捜査官の体に同居してさらなる騒動に巻き込まれていくSFアクション。

なんで連邦捜査官の体に同居する羽目になったか?というと、他天体の高度な技術を持ってしても肉体の修復に時間がかかるという理由からなんですが、前提として、宇宙人の存在が地球にバレちゃまずい、及び、他の惑星の生命体に危害を加えてはならない、というルールがあるからなんですね。

つまり地球は後進星であって、実は宇宙には他の惑星に住む宇宙人の一大生活圏があり、知らぬは地球人ばかり、というのがこの作品の設定。

まあ、ぶっちゃけよくあるパターンのスペースオペラというか、メン・イン・ブラックというか。

ひとつの肉体にふたつの精神が同居する、ってのもウルトラマンみたいですし。

なんとも70~80年代っぽいなあ、と思ってたら、オリジナルはすでに読み切りの形で80年代に発表されていたとか。

本作はそのセルフリメイクとなるシリーズらしいです。

だからといって懐古的でOKってわけでもないですけどね。

とりあえず私が読んでて感心したのは、他の星々の政治やネットワークがどういう形で成立していて、どのような文化、生活が存在してるのか?といった物語背景の緻密な構築性なんですけど、それをさておいても悩ましいのは「とにかく盛りあがらないこと」なんじゃないか、と思いますね。

ひたすら展開が遅い、というのもあるんですけど、日常の小さなネタや枝葉末節にやたらストーリーが振り回されるんです。

連邦捜査官バーディーの活躍より、なにげない会話劇の方に重きを置いてるんじゃないか?と思えてくるぐらい。

いや、それこそがゆうきまさみじゃないか、と言われればなんの反論もできないんですけどね。

究極超人あーる(1985~)のころからこの人はずっとこんな感じでしたし。

で、私はそんな作風がどっちかといえば苦手。

なのになぜあえてこの漫画に手を出したのか、というと、知ってる人が褒めてたからなんですけど、ああ、やっぱり肌に合わなかった。

デビューから20年以上を経ても変わらない人は変わらないんだなあ、と。

それでも何かあるんじゃないか?と思ってがんばって20巻通読したんですが、最終巻を読んで愕然、掲載誌を変えて続きは鉄腕バーディーEVOLUTIONで、ときた。

もう無理。

これ以上、追えねえよ。

ヤングサンデー休刊の憂き目を乗り越えて別誌で続編が描かれるぐらいだから根強いファンが居る、ということなんでしょうが、私の感覚では読者を選ぶ漫画ですね。

バーディーの派手な立ち回りも本当に少ないしなあ。

読み進めれば読み進めるほど、本当にこいつ強いのか?と懐疑的になってくるほどに。

強さが天井知らずにインフレを起こすジャンプバトル漫画とは真逆だなあ、と思ったり。

ドラマチックに起承転結より、拡散傾向で寄り道もまた良し、って人向けの一作な気がします。

良い悪いじゃなくてそういう漫画。

作家性と言えば作家性なんでしょうね。

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