アメリカ 2017
監督 キャリー・マーニオン
原案 キャリー・マーニオン、ジョナサン・マイロット
地下鉄の駅を降りたらいきなり地上は交戦地帯と化していた、ってな筋立てのシチュエーションSF。
ま、物語の立ち上がりはなかなかのインパクトだった、と思います。
なんかゲームみたいだな、と思ったりはしたんですけどいきなり男が火だるまとか、ぎょっとさせられたことは確か。
長回しを多用して全10カットで撮影されたことが話題になった作品でもありますが、じゃあそれが臨場感を喚起していたか?というと実は微妙なところでして。
あくまで私の感覚なんですが、割とね、カメラを構える位置が違うんじゃないか?と思えるシーンが多くて。
そこは走ってるヒロインを前からアップで撮るべきだろう、とか。
そこはすばやくパンして弾丸の軌道を追うべきだろう、とか。
センスが悪いとは言いませんが、長回しがあんまり意味をなしてないように思えて仕方ないんですよね。
別に普通に撮っても良かったんじゃないか?と。
全10カットの特異性が、緊張感の維持に貢献していたようには感じられないんです。
難しいところなんですけどね、撮影手法だけが全てなわけでもないですし。
シナリオの出来があんまりよくない、というのも影響してたように思います。
物語の滑り出しから考えるなら、あえて最後まで真相をはっきりさせない、というやり方もあったんじゃないか、という気がするんですよね。
それこそ近年公開されたイット・カムズ・アット・ナイト(2017)のように。
おそらくその方がはるかに不穏さ、スリルは増した。
割と早々と事の真相が明かされて、しかもそれが結構な割合で絵空事に近いネタだったりするのがなんとも興ざめで。
いや、それはないだろ、みたいな。
個人的には「突然の異星人侵略」とタメをはる陳腐さでしたね。
登場人物たちの行動がとかく「雑」なのもあんまりよくない。
そこを放置したまま先に行くのか?!とか、なぜそこでそんな展開?!とつっこむこと数度。
見知らぬ者同士がバディを組んで戦火をくぐり抜けるなら、その二人の関係性にこそ注視するべきなのに、なんとなく流れで一緒に行動してます、ってなってるのも大きく減点対象。
一応ね、エンディングでそれなりの裏切りというか、ええっ!そう結んじゃうの?ってな、驚きのシーンが待ち受けてたりもするんですが、これも投げっぱなしといえば投げっぱなしで。
結局なにを描きたかったんだよ、と言う人もきっと居るだろうなあ、と。
うーん、工夫が実を結んでない低予算映画、といったところでしょうか。
出オチに近い映画でしたね、私にとっては。