アメリカ 2018
監督 イーライ・ロス
脚本 ジョー・カーナハン
チャールズ・ブロンソンが主演して大ヒットした「狼よさらば」をリメイクした作品。
ブルース・ウィリス主演の映画を見るのはいつ以来だろう?と記憶をたぐらなければ思い出せないぐらい、動く彼を映像で追うのは本当に久しぶりなんですが、まー老けませんね。
とても御年64歳とは思えない。
いつもの私なら「64歳がやるような役じゃねえ」と苦言を呈してるところですが、別段違和感を感じるわけでもなかったので、役者としては有益な外見ってことなんでしょうね。
とはいえ、この作品、イーライ・ロスが監督してなかったら多分見てないだろうなあ、とは思います。
やっぱりいくら若く見えるからって、ブルースのアクションはもう頭打ちだと思うんで。
なにをどういじくりまわそうがダイ・ハード(1988)は絶対に超えられない、ってとっくの昔にみんなにバレちゃってますよね、実際のところ。
とりあえず、 それなりの数字が稼げるからブルース主演でドンパチやっとけ、みたいな。
制作側も高望みはしてないですよね。
誰もブルースに性格俳優的なポジションとか期待してないでしょうし。
ムーンライズ・キングダム(2012)とかありましたけどね、結局あんまり話題にのぼりませんでしたしねえ。
個人的には12モンキーズ(1995)やLOOPER/ルーパー(2012)みたいなSFで存在感を示して欲しい、と思ったりもするんですが、最近はそういうオファーもないみたいですし。
で、本作ですが、イーライ・ロスにどういう意図があったにせよ、結果的にここ最近のブルース主演作と大きく変わらず「期待以上のものを望んでない一作」になってたように思います。
やっぱりね、ブルースに「銃の扱いなんてまるで知らない外科医の役」なんて無理がありますよ。
もう深層意識に焼き付いちゃってるもん、ブルース=ドンパチって。
銃を持ってオタオタしてるシーンを見ても、普通に「ウソつけっ!」って思ってしまう。
お前が慌てるはずもなかろうが!みたいな。
またブルースもド素人を演じるのが下手で。
悲しみの感情を押し殺した演技のつもりなのかもしれませんが、私には無口なタフガイ野郎の逡巡にしか見えなかった。
妻と娘の復讐を遂げるため、まずは実践とばかり、街に悪人狩りへと乗り出す展開もあんまりよろしくない。
70年代ならともかく、相互監視社会化の加速する現代において町中で拳銃乱射するとかリスクが高すぎるだろうが、って。
そんなことやらかしてちゃあ、復讐を遂げる前にはやばやとお縄ですよ。
その程度のこともわからんぐらい阿呆な外科医なのか?と。
オリジナルは見てないんでキャラ設定に改変があったのかどうかわからないんですが、なぜ主人公を銃の扱いに長けた元軍人とかにしとかなかったのか、と思いますね。
その方がよほどカタルシスを得られた。
それやっちゃうと、ここ10年ほどのリーアム・ニーソン主演作とネタ的にかぶる気がしなくもないですけどね。
どうあれ、リメイクしたこと自体が微妙だったように思います。
物語の核にあるものがもう時代にそぐわなくなってる。
なんだかなあ、イーライ・ロス、しょせんはホステル(2005)だけじゃなかったのか?という気が最近すごくしますね。
誰が言いはじめたんだ、鬼才とか。
グリーン・インフェルノ(2013)もあんな感じだったし・・・。
かっこよかったのはタイトルだけじゃねえかよ!ってのはいささか辛辣すぎますかね。
残念。