アメリカ/カナダ/フランス 2005
監督、脚本 ジョージ・A・ロメロ

ゾンビ映画の生みの親、ロメロが「死霊のえじき」以来20年ぶりに取り組んだ新作ゾンビものですが、残念ながら私はダメでした。
ものすごい期待はあったんですけどね。
無数に分裂、繁殖しまくってる亜流のゾンビ映画どもをついにオリジネイターが一刀両断か!と思ったんですが、蓋を開けてみればこれもまた亜流なのでは?と思える出来。
死霊のえじきの次にくる作品だとは到底思えません。
やはり最大の失敗は、なんかちょっとかしこいゾンビ、を登場させちゃったことでしょうね。
ゾンビが理性をもつ、ということは、イコール「異種人間における生息域争奪戦」になっちゃうわけで、それってもう敵がゾンビである必要が全くないわけです。
つまり「アンダーワールド」あたりとやってることは全く同じ、になっちゃうんですよね。
別に意思を持つゾンビVS人類、という映画があったって、そりゃかまいやしないんですが、そういう意図で撮られていない作品が、製作者の意図しないところで結果的にそうなっちゃってるのはやはり滑稽ですよね。
残虐な描写やアクションの内にも切迫したドラマがあるのがロメロの凄み、と思っていた私にとって、やっぱりこれは受け入れがたいものがどうしてもあります。
本作のテーマとして監督が選択すべきは「ゾンビとの共生」に他ならなかったのでは、と私は思います。
天敵不在の人類に、初めて出現した天敵として、ゾンビを位置づけた世界のドラマが見たかったですね。
できればなかったことにしたい一作。