メキシコ/デンマーク/フランス/ドイツ/ノルウェー/スイス 2016
監督 アマト・エスカランテ
人里離れた山小屋でこっそりと博士が飼う、異形のモンスターに心奪われてしまった人々を描くSFなのか心理ドラマなのかよくわからん作品。
しかしこれがヴェネチア映画祭で銀獅子賞とは・・・。
受賞年の審査員を誰がやってたのか知りませんが、日本人的感覚で言うなら「アホなのか?」と思いますね、正直なところ。
だってね、これ、80~90年代ぐらいに日本のアダルトコミック、アダルトアニメで大流行した「触手もの」そのままの内容なんですよ。
ミミズの親玉みたいなクリーチャーが多頭の触手を使って女を陵辱するポルノの一ジャンルが「触手もの」なわけですが、海外ではHENTAIと呼称されて今でも一定のファンが居るんじゃなかったかな?確か?
邦題とジャケ写からして「怪しいな・・」とは思ってたんですが、まさか本当にそのままの内容だとは思わなかった。
なんのひねりなくポルノの題材をそのまま一般映画に流用してる監督のセンス、創作姿勢にも呆れかえりますが、それを支持してる人達がいる、という現実にも軽く目眩がしてきますね、ほんと。
メキシコ、ないしはイタリアにはインターネットは普及してないのか?と。
それともエロに関しては至極ノーマルに生身の女を相手にすることが当たり前で、映像媒体とか本とか見向きもされてないんですかね?
屈折した性嗜好が物珍しく映った、とか?
フィリピンあたりだとエロ本1冊買うより売春婦買ったほうが安いらしいですからね。
本とかビデオとか全く普及してないらしいですし。
それがメキシコの性文化にも同様にあてはまるものなのかどうか、不勉強ゆえわからないんですが、だとしてもですよ、そのままやってちゃあいかんだろう、と。
こういう映画を撮ろう、と思いついた時点で、普通なら最低限の下調べぐらいはしませんか?と。
だって他の既出作品とネタがかぶってちゃ意味ないわけだから。
せめてね、ポルノから徐々に位相がずれてきて、最後には全く別物になった、っていうのであればまだ見方も変わると思います。
うん・・・・たいしたオチ、用意されてないし。
「宇宙から飛来してきた謎の触手生物の与える快楽に、虜になる人たちの話」なんて、悪いけどばかばしくて見てられないですよ、マジで。
またもう、触手がうねうねと気持ち悪くて。
こういうのがお好きな人はたまらんのかもしれませんが、私はミミズとか蛇とか生理的に苦手なんでなにがエロチックなのかすらさっぱりわからない。
ローグ・ワンのVFXチームが触手の動きを担当してるらしいんですが、いやいや、ちょっと待て!金のかけ方、徹底的に間違ってるだろう!と。
「麻薬に溺れるメキシコ社会の混沌を暗喩してる」とか、もっともらしい批評もあるようですが、それをこんなやり方で伝えられたくもないわ!ってのが本音。
稚拙、でいいと思うんですけどね私は。
クローネンバーグかデビッド・リンチでも見て出直してこい、の一言ですね。