アメリカン・アサシン

アメリカ 2017
監督 マイケル・クエスタ
原作 ヴィンス・フリン

アメリカン・アサシン

全米でベストセラーとなった「ミッチ・ラップ」シリーズを映画化した一作。

さて、私は原作の存在すら知らなかったんで、ミッチ・ラップってのがなんなのか、まるでわからなかったりはするんですが、映画を見た限りでは「CIAにスカウトされた若者が持ち前の身体能力を生かして大活躍するお話」って感じ。

一応、物語の背景にはテロリストに恋人を殺されて復讐を誓う主人公、という前提があるんですが、まあ、あんまりそこには力点をおいてない。

暗くなりすぎないように配慮したのか、キングスマン風の「新人工作員、七面六臂の快進撃」みたいな描写が多かったですね。

アクションシーンに関してはそれなりに力がはいってた、と思います。

実戦における合理的な格闘法を、MMAっぽい動きをベースに荒唐無稽になりすぎぬよう、きちんと検証した形跡が伺えました。

マイケル・キートンの冷酷で人格が破綻した鬼教官役も思いのほかはまってる、と思いましたし。

普通にアクション映画を楽しむ感覚で最後まで見れることは間違いない。

ただね、すこしひっかかる点もないわけじゃなくて、私が気になったのは、主人公の独断専行がすぎること、なんです。

CIAにそれほど詳しいわけでもないですが、仮にも国家機関の作戦行動中にですよ、昨日今日配属された新人が独断で命令を無視して行動するとか、ありえない、と思うんですよ。

命のやり取りを強いられる現場でチームの一員が勝手なことやりだしたら仲間はたまったもんじゃないですよね。

「俺を殺す気か!」って話ですよ。

しかも主人公ミッチ、自己中な振る舞いをするのが一度や二度じゃないんです。

ことごとく命令を無視して自分の判断を最優先にする。

もちろん映画ですからそんな独断専行がマイナスに働くどころか、上層部もびっくりの素晴らしい結果をもたらすんですけどね、いやいや、そりゃないわ、ってどうしてもつっこみたくなるわけで。

結局、天才工作員だからなにをやってもうまくいく、としたストーリー作りが「やっぱり映画だよね」と半笑いで呆れられる隙を作品にもたらしてるんです。

ま、それはそれでいいんですけどね、それならそれで中途半端にリアリズムに執着せず、徹底したスター映画として仕上げたほうが潔かったように私は思いますね。

現実的であることとと、荒唐無稽さの食い合わせがあんまりよろしくない。

こういう作品って、やっぱり埋もれちゃうと思うんです。

たくさんいいところがあっても、どっちつかずな印象を与えるから。

続編は制作されるんでしょうかね?

挽回できるとしたら次だと思うんで、見守りたいと思います。

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