アメリカ/イギリス 2018
監督 ジャウマ・コレット=セラ
原案 バイロン・ウィリンガー、フィリップ・デ・ブラジ
もー、どんだけリーアム・ニーソン好きなんだよ!と、思わずセラ監督につっこみたくなる両者4度目のタッグ、でもっておなじみサスペンス調のアクションです。
最も信頼できる役者として起用してるのか、それともニーソンさえ出てりゃあ安牌で確実だから使ってるのか、監督の意図はわかりませんが、このまま行くとジョニー・デップとティム・バートン監督のコンビのようにいずれは観客から愛想つかされちゃうぞ!と私は大いに懸念する次第だ。
実際、またかよ・・・と思った人もきっと大勢居たはず。
ま、前作ロスト・バケーション(2016)がぱっとしなかったですしね。
失地回復とばかりに、強引に過去の常勝パターンにすがったのかもしれません。
で、肝心の内容なんですが、マンネリといえばマンネリ(ニーソンが元刑事である、という設定とか)なのかのしれませんが、それほど悪くはありません。
いやね、物語の取っ掛かりがね、ちょっと無理やりかな、とは思ったんです。
ニーソン、見知らぬ他人からいきなり「探している人物を特定してくれたら10万ドルがあなたの手に」と持ちかけられるんですが、普通はそんな胡散臭い話にまず乗らないですよね。
たとえ現金を目の当たりにしたとしても。
ましてや元刑事。
そんな大金の動く話が「真っ当」じゃないことぐらい、すぐにわかりそうなもの。
主人公、仕事をクビになって借金に苦しんでる、という前フリがあるんですけどね、だとしても警戒心がなさすぎですよね。
なので中盤ぐらいまであまりのめりこめなかった、というのは私の場合、あった。
通勤電車という密室の中での出来事、という舞台づくりにそそられるものはあったんですが、ちょっとね、現実味に欠けるなあ、と。
ところがですよ、そんなどっちつかずの非現実感を予想外のド派手な展開で監督は挽回してくるんですよね。
終盤の主人公と犯人の駆け引きは、なかなかに緊張感あふれてまして
まさか「立てこもる」羽目になるとは、とびっくり。
あっさり終わるのかな?と思わせておきながら、ちゃんと最後にもう一山用意しておく周到ぶりはお見事だったと思います。
なんとなく、黒幕はこいつじゃないのかなあ・・・と、途中でわかりかけてきたりもするんですけどね、乗客の細やかな心理描写や危地脱出のための小さなアイディアの積み重ねが見る側を前のめりにさせるんですよね。
これは素直にセラ監督のうまさだろうと。
唯一残念だったのは肝心のニーソンがあまりに年老いて見えたこと。
いつのまにこんなに老けたんだ?!と驚くほどおじいちゃんになってます、ニーソン。
実年齢66歳ですしね、見た目はこんなものなのかもしれませんけど、やっぱりこの老けっぷりで列車から列車に飛び移ったりのアクションはどうしたって無理がある。
もう、見てて怖いですもん、うわ、怪我するんじゃねえのかこれ!やめてー!みたいな。
勇ましいキャラとは裏腹にね、素振りや立ち居振る舞いがもう「老人のそれ」なんですよニーソン。
彼ありき、なのはわかるんですが、アクション俳優としてはとっくに限界越えてるんじゃねえか?と感じられたのがなんとも辛いところ。
もし5度目のタッグがあるなら次は年齢相応の配役を、と願わずにはいられません。
撮影中に事故起きるって、マジで。
ともあれ、相応の見応えはあると思います。
フライト・ゲーム(2014)とか好きだった人は楽しめるんじゃないでしょうか。