ブラックパンサー

アメリカ 2018
監督 ライアン・クーグラー
原作 スタン・リー、ジャック・カービー

ブラックパンサー

なにが鮮烈だったか、というとほとんど黒人だけのキャストでこの手のアメコミ・ヒーローものを成立させている、という点でしょうね。

昨今、ハリウッドじゃあ黒人やアジア人が映画への出演機会を不当に白人に奪われている、と問題になってますが、この作品に限ってはもうちょっと白人出ててもいいよ、って言いたくなってくるぐらい白人でてません。

そういった観点で語るなら、2018年にディズニーがこの作品を発表したというのは画期的だったように思います。

やっぱりね、黒人が登場人物のほとんどを占めている映画って、どうしても差別問題を扱ったものや人間ドラマが多かったように思うんですね。

いわゆる社会派。

私の知り限りじゃ黒人が大勢登場してくるSF系のエンタメって、ブラザー・フロム・アナザー・プラネット(1984)ぐらいしか記憶がない。

ライアン・クーグラーは証明して見せましたね、市場を席巻するマーベル・シネマティック・ユニヴァースであってすら、別段白人だけじゃなくても問題ない、ってことを。

これをSFエンターティメントの世界でやった、ってのが大きな意味を持つように私は思います。

そこはウィル・スミスやデンゼル・ワシントンの単独主演映画とはわけが違いますから。

実は高度な先進文明を隠し持つも、伝統的な掟に縛られている超国家ワカンダの描写も細部が作り込まれてていい。

古さと新しさ、テクノロジーと土着性の同居を形にした美術や小道具は「見たことのないものを絵にする」SF的醍醐味があったように思います。

唯一の難点は肝心のシナリオが「単なるお家騒動」だったことぐらいでしょうか。

そこはね、初顔見世なんだから内輪もめじゃなくてブラックパンサーならではの敵を用意してほしかったですね。

じゃないとブラックパンサーがどう超人的なのか、何が出来て何が出来ないのか、はっきりと伝わってこない。

単に身体能力の高い仮装した人で終わっちゃってるんですよね。

続編が出るのかどうかは知らないんですが、個人的にはアベンジャーズに合流してしまうのではなく、ワカンダがどう変わっていくのか、その中でブラックパンサーはどんな役割を果たして行くのかを見せていって欲しい、と思いました。

設定及びキャストが他にないだけにこの1作だけで終わらせるのは惜しい。

エポックな秀作だと思いますね。

どうでもいいんですが国王が変身ヒーローって、なんだか暴れん坊将軍みたいだな・・・。

いや、失礼、いい映画です。

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