ブロークン・ダークネス

南アフリカ 2017
監督、脚本 クリストファー=リー・ドス・サントス

ブロークン・ダークネス

流星雨が地表に降り注いだことにより、地下生活を余儀なくされた人類の行く末を描いた終末SF。

ま、前半は低予算なりに頑張ってた、と思います。

地上に出ることのないまま8年が経過し、やむなく地下鉄の路線を居住地とする閉塞した暮らしの描写は、全貌が見えてこないこともあり、先の展開を期待させるものがありました。

物資が不足しているがゆえ厳然とした規律が存在する、と言う設定もお話の進め方としちゃあ悪くない。

ただね、この映画、後半がなにかと始末に負えなくて。

成り行きで追いつめられて、主人公たちは選択する余地のないまま地上に出る羽目になるんですけどね、そこからが何故かウォーキング・デッドになっちゃうんですよね。

そうなんです、この作品、ディストピアSFに見せかけたゾンビものだったりするんです、実は。

ちなみに劇中でゾンビとは一言も言ってないです。

流星雨に付着していたウイルスに人が感染すると凶暴化する、という説明なんですけどね、いや、それゾンビじゃねえかよ!って。

しかしまあ流星雨でゾンビって、一体何十年前のネタなんだよ、って話でね。

なんとなくルチオ・フレチとか、あのあたりの懐かしい名前を思い出したりとか。

もう、ほんとにね、なぜこうなる?って感じですね。

また、前半の伏線と思しき場面やセリフが全く回収されないまま全放置でね。

後半の体たらくを鑑みるに、別に伏線のつもりで撮ったわけじゃなかったのかもしれませんけどね、監督は。

エンディングもほぼ投げっぱなし、と言っていいでしょう。

ちなみにあのラストシーンを活かすためには何が必要だったか、私は完璧に指摘できますけど、一回全部解体してゼロから組み立て直すぐらいの根気が必要になってくるんで書きません。

面倒くさい。

というか、わかってない、この監督。

何を描こうとしてるのか焦点が定まってないし、描きたいものを形にするためにはどうするべきなのかか、全然わかってない。

地下世界の出来事だけで、なぜ最後まで突っ走らなかったのか、と。

ほんとそこですね。

どうしても地上に出たかったのならそれはラスト数分でやるべきで。

南アフリカのSFも最近はレベル上がってきたなあ、と思ってた矢先にこれだよ。

やっぱりリヴォルト(2017)みたいなのはそうそう出てこない、ってことなんでしょうね。

中途半端に前半がそれなりの出来だっただけに、余計に腹立たしいですね。

残念、これじゃあ誰の記憶にも残らないですよ。

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