あげくの果てのカノン

2015年初出 米代恭
小学館ビッグコミックスピリッツ 1巻(全5巻)

地球外生命体の侵略を受ける地球を舞台に、異星生物と戦う防衛軍の兵士たる「先輩」と主人公カノンとの、許されざる恋路を描いたSFラブロマンス。

この作品が独特なのは先輩が妻帯者であるにも関わらず、カノンの想いがまるで揺らぐことなく一途なままなである、というキャラ設定に尽きるでしょうね。

1巻の段階では先輩とカノンが不倫に走っちゃうのかどうかまではまだわからんのですが、侵略SFを下敷きに昼ドラかよ!と言いたくなるような、禁断の恋を紡ぐとは恐れ入りましたね。

抱き合わせの妙、というか、異ジャンルコラボレーションというか。

先輩が戦闘で負傷し、修復を受けるたびに少しずつ人格が変わっていく、という筋立てもうまい、と思います。

実はこれって、学生時代以来の再会をはたし、二人の距離は縮まっていけども、カノンが恋した先輩はもうどこにも居ない、ってことが最初から明示されてるってことなんですよね。

先輩の形をしたなにかに、カノンは先輩の影を追って一人芝居を演じ続けている、という解釈もできるわけです。

なんとまあ儚くも切ない恋物語なことか、と。

なるほど、こりゃ話題になるわ、と納得。

ただね、表現作法があまりに少女漫画的でして。

カノンの想いを切々と描写したシーンとか追ってると、もう、りぼんとか別冊マーガレットでも読んでるような気分になってくるんですよね。

流石にね、この歳になって真正面から少女漫画は辛いです。

恥ずかしすぎて身悶えしてしまう。

面白いアプローチだなあ、と思いますし、先も気にならなくはないんですが、もうちょっと一般誌っぽいスタイルに歩み寄ってくれんものか、と。

現状、どちらかといえば女性向けだと思いますね。

ちょっと無理すれば花とゆめあたりでも連載できそう。

続巻を手に取るかどうかは思案中です。

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