イタリア 2004
監督 ダリオ・アルジェント
脚本 ダリオ・アルジェント、フランコ・フェリー二
しかしまあデス・サイトって、なんとも安直な邦題だなあ、とつくづく思いますね。
ソウ(2004)が大ヒットしてた頃ですしね、人気に便乗したかったのかなあ、などと勘ぐってしまいそうですが、どうであれ、センスねえなあ、と。
そもそも原題はIL CARTAIO、英題THE CARD DEALERですしね。
デスなサイトとか物語に存在してませんし。
ストーリー進行上のフックとして、連続誘拐犯が警察にネット経由でポーカーを挑む、ってだけでね、特定のサイトがなにか重要な意味を持ってる、ってわけでは決してありませんし。
よくあることですけどね。
まあ、あえて観客を誤誘導したかったのかもしれないですけど。
というのも、この作品が「あんまりぱっとしないから」なんですけどね。
やってることはアルジェント監督お得意のサスペンスです。
ジャーロです。
別段、不手際はないし、破綻してるわけでもなく、決して仕上がりは悪くない。
つまらなかった、ってわけじゃないんです。
でもねー、見せ場がないんですよね。
お得意のサディスティックなヒロインいじめもなければ、偏執的な残虐シーンもない。
いうなればカストリ雑誌から「猟奇」が抜け落ちてしまったようなもの。
いや、その手のエキセントリックさがないからダメだとは言いませんよ、でもね、ないならないで、それに代わる武器を用意してもらわないと、平均的で凡庸、という無個性の登録商標のような形容しかできなくなってくるわけでして。
そもそもですね、ネットでポーカーを挑む、というギミック自体が2004年にやらかすようなネタじゃないですよね。
どっちかというと、インターネット黎明期にもてはやされてた印象が濃いですし。
対戦ゲームとかって。
私の場合、犯人が途中でわかってしまった、というのもありましたし。
辛辣な言い方をするなら、新しいものに興味のない人が中途半端な知識だけで時流に合わせようとしたような感触が強い。
うーん、老いたかアルジェント。
彼の場合、多少辻褄が合わなかろうが、実の娘(アーシア・アルジェント。今やイタリアのトップ女優)でも劇中では手ひどい目にあわせる、ぐらいのほうが絶対面白いんですけどね、こればっかりは無理強いできるものでもないですし。
もともと整合性とか、物語の綿密な背景とか、杜撰な監督なんで、もうね、あえてマンネリズムを突き進むで私はいいと思うんですが、さてどうでしょうか。
しばらく様子見ですね。
変節するのか、原点回帰か、後続の作品をチェックしていきたいと思います。