デイ・ウォッチ

ロシア 2006
監督 ティムール・ベクマンベトフ
原作 セルゲイ・ルキヤネンコ、ウラジーミル・ワシーリエフ

デイ・ウォッチ

ロシアで空前の大ヒットを記録したナイト・ウォッチ(2004)の続編。

いわゆる光と闇の戦いを描いた古いタイプのSFファンタジーなわけですが、今回は、はからずも息子が闇の側に与してしまった主人公(光の監視人)の苦悩を軸としてストーリーが展開。

前作見てないと全くわからないと思います。

とりあえず抑えておきましょう。

で、本作なんですが、いい意味で安定してると思いましたね。

別段大きく変化を遂げたと思えるような点はなし。

アクションよりもドラマに重きを置くやり口も同じですし、どんよりと寒々しいロシアの町並みを巧みにCGで異郷へと変貌させるお手並みも相変わらず堂に入ったものでしたし。

前作より予算を多く獲得できたのか、若干派手になったかな、という印象はありましたけどね。

やはり私が「いつ見てもセンスあるなあ」と思うのは、異種にしか侵入できない空間の映像表現ですかね。

ホコリの粒子がふわっと舞い上がり、空気が質量を持ったかのように見せる演出は独特のもの。

ミステリ仕立てなシナリオも悪くない、と思います。

今回、光と闇の均衡を崩しかねない事件が起こるんですけど、予想外の人物が犯人で、あっ!と驚かされましたし。

ただね、前作もそうだったんですが、語り口が妙に重々しいんです、この作品。

これはもうお国柄なのかもしれませんけどね。

そこにまどろっこしさを感じてしまう人は一定数存在するかもしれない。

決して単調なわけではなく、随所に見せ場はあるんですけどね、なんか弾力性に欠ける印象を受けるというか。

抽象的な言い回しで申し訳ないのだけど。

そのあたり、どうしたって好みは別れてしまうでしょうね。

あと、幾分ひっかかるのはエンディング。

禁じ手とまでは言いませんが、この手のオチを良しとしちゃうと、もうなんでもありになってしまうと思うんですよ。

続編への伏線、という見方もできるかとは思うんですが、2018年現在、最終章であるはずのファイナル・ウォッチが発表されてないんで、なんとも判断のしようがない、というのが実際のところ。

ていうか、これで終わりなんですか?と。

終わりだ、と言われれば終わりで納得できなくもないんですが、三部作だと言いながらなんの説明もなく12年放置されてしまうと仮定でしかものが言えないわけで。

興行収入は前作を上回ったらしいのに、なぜ企画が立ち消えてしまったのか、さっぱりわかりません。

私にとってはベクマンベトフ監督に注目するきっかけになった作品なんで、ちゃんとケリつけて欲しいんですけどね、多分もう続きが撮られることはないんだろうなあ。

タルコフスキーでも不思議惑星キン・ザ・ザ(1986)でも火を噴く惑星(1962)でもない、ロシアSF新時代のモニュメントたるシリーズだとは思うんですけどね、なんとなくみんなに忘れられちゃってるような気がするのは思い過ごしでしょうかね。

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