アメリカ 1987
監督、脚本 ジョン・ヒューズ

感謝祭の夜、出張先から家族のもとに帰ろうとするサラリーマンを待ち受ける、不運の連続を描いたコメディ。
邦題のP.T.A.は原題であるPLANES, TRAINS & AUTOMOBILESの頭文字をとったもの。
なんだかいまいち意図の汲み取りにくいひねり方だなあ、と。
PTAというと日本じゃ別の意味にもとられかねない、と思うんですがまあ、いいか。
特徴的なのはスティーブ・マーティンがいつもの調子でバカをやらかすのではなく、災難にまきこまれる真面目なサラリーマン、ニールを演じてることですかね。
主人公ニール、さっさと自宅に帰りたいのに、とにかく徹底的についてない。
天候不順で飛行機は飛ばないわ、見知らぬ土地に放り出されるわ、電車やバスを乗り継ぐはめになるわで一向に自宅との距離が縮まらない有様。
行く先々で現れるのがジョン・キャンディ演じるデル。
全ては偶然のめぐり合わせなんですけど、二人は帰路が同じだということでやがて一緒に行動するようになる。
で、このデルが無自覚な迷惑キャラでして。
全く悪意はないんですが、やることなすこと人をイラッとさせることの連続で、なにかというとドジを踏む。
もうね、デルとニールの掛け合いをみてるだけで爆笑です。
ニールが癇癪おこしてマジギレしてるシーンなんて腹を抱えた。
ちょっとネタバレになるかもしれませんが、レンタカーが夜の高速道路で辿った顛末なんてアホすぎて、ああこの無駄な金のかけ方こそアメリカのコメディだよなあ、と抱腹絶倒しましたね、私は。
とりたててエッジのきいた笑いってわけではなく、どっちかというと王道のドタバタなんですけど、きちんとツボをおさえてるなあ、と思えたのが好感触でしたね。
何者だ、ジョン・ヒューズって監督は?と調べてみたら、ホームアローンの脚本家だとか。
なるほど納得。
また、この作品が素晴らしかったのは、ああ面白かった、で幕を閉じるのではなく、最後に思わずホロッとさせるシーンを用意してること。
チャップリンを先駆とする人情コメディに弱い身としては胸を打たれないはずもなく。
個人的にはスティーブ・マーティンにもっと滅茶苦茶やってほしかった、という願望もあったりするんですが、ここまできっちりとと笑いとドラマのバランスが釣り合っている内容なら文句なしですね。
秀作だと思います。
誰が見ても楽しめる1作じゃないでしょうか。