アメリカ 2017
監督 ジョン・ワッツ
原案 ジョナサン・ゴールドスタイン、ジョン・フランシス・デイリー

映像化するのは一体何度目なんだ!ってな疲労感はそりゃどうしたってあるわけで。
なんせサム・ライミ版のスパイダーマン三作、仕切り直しのアメイジング・スパイダーマン二作を経て、大人の事情が絡んだ挙句、再びマーベル・シネマティック・ユニヴァースのスパイダーマンとしてもう一度お付き合い頂戴、って話なんだから、普通ならいい加減にしろ、って怒ってもいい話。
続編じゃないですしね、リブートですしね。
でもこれがそれなりの興行収入を稼いじゃうんだから、さぞやマーベルスタジオは笑いの止まらんことだろうなあ、と思います。
もはや何をどう料理しようが確実、安牌なキラーコンテンツってことなんでしょうね。
で、肝心の内容ですが結論から言っちゃうなら、これまで映像化されてきたスパイダーマンシリーズの中では一番出来が悪いです。
もうみんな知ってるでしょ、ってことで物語の端緒となる蜘蛛に噛まれるシーンとか割愛して、スパイダーマンのキャラだけでストーリーを編んだのはいいんですけどね、それがスパイダーマンという存在そのもののデフレ化を促進してるんですよね。
こんなに安っぽいヒーローだったけ、スパイダーマン?みたいな。
アベンジャーズの一員として機能させるために、ピーター・パーカーの性格設定を変えて、いかにもバカなスクールボーイ風にしたことがスパイダーマン自体をもおふざけなヒーローに変化させてしまっていて。
今回はコメディタッチで、ってことなんでしょう、きっと。
でも前5作のシリーズでね、たかだか高校生が巨悪に立ち向かい、自らの持つ超大な力に苦悩するシナリオに感銘を受けた身としてはね、いきなり「これが新しいスパイダーマンです!」ってやられてもついていけないわけです。
100歩譲って、アホなスパイダーマンをスピンオフだと思って許容したとしますよ、すると今度はそれならそうで、全く笑えない、という悪夢が待ち受けてる。
ただ延々おちゃらけてるだけ。
メリハリもなけりゃオチもない。
せめて最後ぐらいはおふざけを排して盛り上げてくれれば、と願ったんですが、それも弱いときた。
肝心のリズとのラブロマンスもドラマ性ゼロであっけなく終焉、の体たらく。
もうね、断言してしまいますけど、アベンジャーズの刺し身のつまです、これ。
これを見て、次のアベンジャーズ:インフィニティ・ウォー、盛り上がろうぜ!ってだけの映画。
1人気を吐いていたマイケル・キートンが哀れでなりません。
ジョン・ワッツ監督、COP CARが好きだったんで期待してたんですけどね、どうしちゃったんでしょうね。
やっぱり巨大な利権が絡むブロックバスター作品は気鋭の監督の個性が活かされるほど生易しいものじゃない、ってことなんでしょうかね、残念。