イギリス/フランス 2016
監督 ベン・ウィートリー
脚本 ベン・ウィートリー、エイミー・ジャンプ
マーティン・スコセッシが製作総指揮を努めたクライム・アクション。
違法に大量の銃器を取引きしようとする現場で、ちょっとした行き違いから売り手側と買い手側で派手な撃ち合いになっちゃう、というストーリーなんですが、まあ結論から言ってしまうとシナリオの練り込み不足、その一言ですね。
銃撃戦が始まるまではそれなりに面白かったんです。
大勢いる登場人物を上手に描き分けてる、と思ったし、セリフ回しもウィットに富んでいてセンスがいい、と思った。
たった一人の大馬鹿野郎のために命の取り合いになってしまう展開もニヤリとさせられるものがありましたし。
不首尾なのは銃撃戦が始まってから。
もうね、延々撃ち合いやってるだけなんですよ。
一応ね、双方が生き残るための駆け引きは、ここが見どころとばかりにシナリオ進行に盛り込まれてはいるんですが、例えばサバイバルものでね、生き残ることだけが目的の物語にあなたは惹きつけられますか、という話であってね、「サバイバルの結果、なにが待ち受うけてるのか」「何のためのサバイバルなのか」といったテーマとなるべきコンセプトがストーリーからごっそり抜け落ちちゃってるもんだから、時間が経てば経つほど退屈さは助長されるばかりで。
俳優陣は流血しながら熱演なのに、なぜこんなに気持ちが冷めてくるんだろう、という。
終盤、ちょっとした謎かけが用意されてはいるんですけど、それもねー、たいしたオチじゃない上に、なぜそんなことをしたのか?という背景が描かれてないから恐ろしく薄味でね。
多分、個性的なキャラクターだけで勝負したかった、ということなんでしょうけど、それならそれでガイ・リッチーやタランティーノばりに徹底的に人物像を掘り下げるべきだったし、関係性にも言及するべきだったと思う次第。
早い話が短編並のヴォリュームなんですね。
もともとの設定がペラペラなのに、それを会話劇だけで強引に90分へと膨らませた印象。
こういう映画が好きな方は結構おられるんでしょうけど、個人的にはいまひとつのれない小品でしたね。
ベン・ウィートリー、割と好きなタイプの監督なんですけど、今回は痒いところに手が届いてない気がしましたね。