アメリカ/日本/カナダ/フランス 2006
監督 クリストフ・ガンズ
脚本 ロジャー・エイバリー
コナミの人気ゲームを映画化した作品。
私の知る限りでは、ゲームを映画化したタイトルで唯一の成功例がこの一作なんじゃないか、と思いますね。
監督が明晰だったのは、ゲームの世界観はそのままに、現実は現実として軸を違えて描いたこと。
ゴーストタウンであるサイレントヒルでの出来事に、無理な説得力をもたせようとしてないんです。
たいていのゲームが原作である映画はここを失敗するんですよね。
しいて言うならバイオハザードとかね。
そりゃね、無人の廃屋でいきなりゾンビもどきに追いかけられたり、奇っ怪なクリーチャーに襲われたりって、なかなか素直に入り込めないものがありますよ、やっぱり。
どんなB級ホラーなんだ、と。
絵ヅラだけ見てたらチープなコミックレベルの安っぽさですしね。
けれど本作においては、そこを「捜索者をはばむ異郷」と設定したことでクリアしてきた。
幻想怪異譚的な自由度を獲得してるんですよね。
見てる側はわかんないんですよ、どこまでが現実で、どこまでが非現実なのか。
だからあえて真実味を追求する必要なく、灰の降り続く町という特異なシチュエーションに安心して身を任せる事ができる。
それはラストシーンにも見事活かされていて。
色々あったけど脱出できました、じゃ普通だよなあ、と思ってたら鮮やかに裏をかいてきた。
良質なダークファンタジーにも似た突き放し方は、ゲームの枠組みを超えて物語のステージを1ランク上に引き上げていたように思いますね。
オリジナルホラーでも、なかなかこんな風に寂寞たる無常観漂うエンディングは演出できないですよ。
怪異と現実を地続きとしなかったことが、双方の世界を壊すことなくリンク、成立させた秀作でしょうね。
ゲームファン、映画ファンともに満足な一作、と言えるんじゃないでしょうか。