グリーンルーム

アメリカ 2015
監督、脚本 ジェレミー・ソルニエ

グリーンルーム

売れないパンクバンドがツアーの最中に予定外のライブハウスで演奏したら、偶然楽屋で殺人を目撃してしまい、籠城する羽目になる、というお話。

なんで籠城するのか、というと、そのライヴハウス、オーナーぐるみでネオナチにかぶれた政治運動をやっていたから、なんですね。

つまり、なんか思想絡み、運動絡みの殺人事件であって、結社としてはそれを秘密裏に処理したい、表沙汰にしたくない=パンクバンド邪魔、殺っちまうか、という図式なわけです。

ま、シチュエーションは独特だった、と思います。

結社の連中が武器を手にライヴハウスを取り囲み、帰りたいのに楽屋から出ようにも出られないアホなパンクバンド4人、という絵ヅラはあんまり見たことがない気はしました。

ただね、その独特さになんだか乗れない自分もどこかに居て。

ネオナチに詳しくないんでわからないんですけど、4人全部皆殺しって、あまりに大胆すぎやしないかと思う部分もあって。

4人にだって、親兄弟も居れば友達も居るわけですしね。

いくらなんでも全員一斉に姿を消した、とあっては関係者も騒ぐだろうし、警察も動くだろうと。

殺した後のリスクが高すぎますよね、やっぱり。

いくら隠蔽のためとはいえ、そこまで後先考えずにやってしまう集団なのだろうか?ネオナチは?と。

それともろくもないバンドマン4人程度が行方不明になったところで誰も騒がない国なんですかね、アメリカってのは?

4人組にあんまり感情移入できない、ってのもあった。

悪い子たちじゃないんですよ、でも降って湧いた災難というより、若さゆえの無軌道さが招いた自爆気味の顛末なんでね、どこか「ああこりゃ仕方ねえわ」と思ってしまう自分も居て。

だいたいライブハウスなんてのは胡散臭いところも多いですから。

そこは自分らでちゃんと選別していかないと、と私なんかは思うわけで。

昨日今日の新人バンドじゃないんだから。

楽屋の扉1枚を隔てた攻防も、どこか盛り上がりに欠けるように感じられて。

さっさと蹴破れよ、と。

4人組は拳銃を一丁持ってるだけなんです。

結社側の人間が1人、人質にとられてますけど、停電させるというアイディアを投入しておきながら強行突入しない、ってなんかおかしかないか?と思ったり。

最後の詰めも甘い。

朝まで大勢を待機させておきながら、なぜ仕上げに手を抜くのかが私にはわからない。

つっこむ隙が多いんですよね、やっぱり。

容赦なく血肉乱れ飛ぶバイオレンスな描写はその手のファンからは喝采かもしれませんが、うーん、やぱりB級路線かな、と。

同監督の前作ブルー・リベンジ(2013)は割と好きだったですけどね、今作に限っては独自性が空回りしているような気もしましたね。

悪いわけではないけど、全米初登場1位、ってほどの出来では、といったところでしょうか。

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