1992年初出 仲能健児
エンターブレインビームコミックス
モーニングパーティーに連載された「インドにて」を中心に、01年以降コミックビームに掲載された短編6篇を付け加えたもの。
初期の作品はおおむねエッセイ漫画と言っていいのでは、と思います。
もちろん脚色はあるんでしょうが、作者が実際にインドを旅してみて出会った人々、感じたことを脈絡なくつらつらと綴った感じ。
バックパッカーの視点ならではの、怪しさ、いかがわしさ、混沌に満ちた内容ですが、知られざるインドがそこに描かれているか、というとそうでもない。
まあ、あの国はこんな感じだろうな、と予測の範疇内。
やっぱりインドと言えば沢木耕太郎の深夜特急を始め、その先鞭たる書物は70年代から溢れかえってるんで、なぜ今インド?というのはありますね。
妙に線の細い独特な描画は、異国のエキゾチシズムを強く香らせてますが、そこにひたれるかどうかは読者の嗜好次第でしょう。
私はあんまり海外志向が強くないんで、読んでますます「一生行くことはない」と改めて認識するだけでした。
近年に書かれた作品はインド文化圏をモチーフにした創作のようですが、いささかグロで少女趣味的ななにかが見え隠れしてあんまり好みじゃないです。
特にオチもなくワンシチュエーションで妄想気味なんで、どっちかといえばガロ(アックス)向けな印象。
他の作品を読んでないんで断言はできませんが、現時点ではあまり興味が持てない、というのが正直なところ。
なにかがカチリとはまれば大爆発しそうな雰囲気はあるんですけどね。