インドネシア/日本/シンガポール 2016
監督 モー・ブラザース
脚本 ティモ・ジャイアント

ザ・レイドで一躍その名を世界に知らしめたイコ・ウワイスを主演に迎えて制作されたアクション映画。
監督のモー・ブラザースって二人組はスラッシャーなホラー映画で名を挙げた人たちらしいんですが、まー正直申しまして、その事実を知るまでは「どこのド素人だ、この二人組」と私は思ってた。
いやもう、とにかくシナリオがね、ほんと目も当てられない、といいますか。
よくまあこんな意外性ゼロの80~90年代香港映画みたいなプロットを今やろうと思うな、あんたたちは、とマジで呆れましたね、私は。
ひょっとしたらジェイソン・ボーンシリーズ的な路線を狙ってたのかもしれませんが、物語の立ち上がりが同じだけであとはひたすらグダグダ。
そういや仮面ライダー(昭和に放映されてた方)とか、あのあたりの石ノ森章太郎一連の特撮ヒーローシリーズに似たような話がなかったか?と思ったり。
またね、中途半端に泣かせよう泣かせようと、お涙頂戴な演出を随所に盛り込んできたりしやがるんですよ、この2人組は。
ああ、クサい。
尋常じゃなくクサい。
というか、ストーリーの進行に積み上げてきたものやフリがないから、なぜこのような場面で泣かせようとするのか、前提からして理解ができなくてですね、私は、ええ。
大人が楽しめる水準になく、手垢も極まってますね。
派手なアクションが撮りたかっただけなら、直撃!地獄拳(1974)みたいなバカアクションにすればまだ好事家から愛されたのに、とつくづく思います。
この内容で真面目にやってどうする、と。
で、肝心の格闘シーンなんですが、もう10分に1回ぐらいの頻度でドタバタやってます。
そこはもう、これでもかと過剰にサービスしまくり。
いい加減終盤にはゲップが出てくるほど。
イコの体技は相変わらず冴えまくってますが、雑魚相手にやたら苦戦したりと、強さのバロメーターが定まってないのが難といえば難。
なんで気持ちよく「無敵の主人公」を描けないのか、と。
そんなところから教えてやらにゃあならんのか、と。
イコ・ウワイスは今が大事な時期だと思うんですよ。
せっかくザ・レイドという秀作でいいスタートを切ったのだから、出演作はほんと選んでほしい、と思います。
決して華のある役者というわけじゃないんだから、自分の売り方をもう少し考えてと、ただそれだけ。
どうでもいいんですが、監督、なぜか格闘シーンになるとカメラを手持ちに切り替えて役者をなめるように移動しだすんですが、これ臨場感を狙ってるんですかね?
うん、手ブレが気持ち悪いし、酔うからやめて。