首吊り気球

1993~94年初出 伊藤潤二
朝日ソノラマハロウィン少女コミック館

<収録短編>
血玉樹
首吊り気球
あやつり屋敷

初読時、あまりの奇想とおぞましさに強烈な衝撃をうけたのが表題作「首吊り気球」。

一体何をきっかけにすれば、首を吊ろうと襲って来る気球の話なんて思いつくのか、もう本当にド肝を抜かれましたね。

ひょっとするとこの短編が伊藤潤二の最高傑作ではないか、と今でも密かに思ってたりします。

パニックホラーな側面も併せ持つ、ってのがこれまた心憎い。

私はこの作品を読んで、作者を間違いなくホラーの天才と断定。

いやね、冷静にシナリオだけを解体するなら、実は紙一重でギャグとも言えなくはないんですよ、このお話って。

なのに怖い。

マジで震え上がる怖さ。 

必読でしょうね。

併録の「血玉樹」もヴァンパイアものを思わぬ角度から料理した傑作。

冬虫夏草がヒントか、と思ったりもするんですが、それをこういう形で仕上げるのは作者にしかできない御業でしょうね。

「あやつり屋敷」もあやつり人形と人間の立場を逆転させて描いた良作。

次から次へと見たことも読んだこともないホラーを立て続けに発表していくこの頃の作者はほんと神がかってた、と振り返ってみてつくづく思う次第。

必携の1冊でしょう。

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