誰が言ったか、フラメンコロック。
けれどこの直裁な形容が、見事このバンドの本質を言い表しているようにも思いますね。
やってることは至極シンプルなんです。
フラメンコとロックを融合させてみる、というワンアイディア一発勝負のハイブリッド。
下賤な言い方をするならフラメンコのロック調アレンジ。
けれどこれがね、やたらいいんです。
ありがちな色物的ポジションに甘んじて無いんですね。
私が感心したのはロックの持つ猛々しさが、フラメンコの良さを何倍にも引き立たてていること。
これ、優れたアレンジセンス、さらにはフラメンコ及びロック双方への深い造詣がないとなかなかできることじゃない、と思います。
なんせ一括りにフラメンコと言っても多様な曲調、種類がありますから。
ちゃんとロックの便法に合うものを取捨選択して楽曲へと反映してるんですよね。
正直フラメンコとかさほど興味なかったですけど、このバンドを聞いて「フラメンコって、なんて情熱的なんだ!」と打ち震えたほどですもん、私。
中途半端な実験やお遊びじゃあ、決してそんな感情は喚起されないであろうことは言わずもがな。

私が聞いたのは1stと2ndの2in1、Fandangos in Space/Dancing on a Cold Windなんですが、もー90分近く血が煮えたぎりっぱなしでしたね。
キャッチーなメロディにこだわりながらも、ベースが歪んでいたりと、攻撃性を兼ね備えてるのもいい。
バンドは3枚のアルバムを出して解散したみたいですが、この音をアメリカ人がイギリスのレーベルから発表した、というのがなんとも驚きですね。
本場スペインにもフラメンコロックと言っていいのでは?と思われるプログレバンドはいくつか存在するように思いますが、ある意味本場より本場っぽい、と言っていいんじゃないでしょうか。
外側から冷静に俯瞰できたからこその完成度なのかもしれません。
おすすめですね。
なにげに興味本位で聞いてドはまりするバンドだと思いますね。
