スタジオミュージシャン集団による技巧派ジャズロックバンド。
なんといっても注目に値するのはジェネシスのフィル・コリンズがドラマーで参加してることでしょうね。
ジェネシスを聞いてる分にはさほど実感がわかなかったんですが、これ、本当に本人?と唸らされるほどフィル・コリンズ、ドラムが達者。
ジャズもやれちゃうのかよ!と驚きでしたね、私は。
楽曲が適度にジャズにかぶれてます、っていうんじゃなくて相当に本格的なのもいい。
耳障りの良さを念頭においたフュージョンになびくわけでもなく、クールさやインプロヴィゼーションに重きをおいたフリーなスタイル、というわけじゃないのも私の好み。
もてるテクニックを駆使してこれでもかとスリルと緊張感を演出してくるタイプ。
「ロック」の剛性がジャズの流儀を懐として、激しく渦巻いてるんですよね。

文句なしで普通にかっこいい、と思ったのが76年発表の1st、 Unorthodox Behaviour 。
BRAND Xのサウンドがすでに完成してます。

続けて77年に発表された Moroccan Roll も素晴らしい出来。
どこかエキゾチックな雰囲気があって、それがバンドの個性を際立たせます。
ガンガン弾きまくるジョン・グッドソールのギターもいいんですが、特徴的なのは、やはりパーシー・ジョーンズのフレットレス・ベースでしょうね。
音色が独特なだけに、なんだいまのフレージング?!なにをやったの?今?!といちいち耳にとまるんです。
デビューが76年、と後発のせいか、あまり大きく話題にならなかったバンドですが、やってることのレベルは恐ろしく高い、と思います。
まあぶっちゃけこの手のハード志向なジャズロックは他に似たようなバンドがいくつか居ると思うんで、差別化という意味では難しいものがあるかもしれませんが、それを理由に聞かない、というのはあまりにもったいない、と思う次第。
突出したオリジナリティは控えめかもしれませんが、私はやってることが明快で好きですね、このバンド。
