雲盗り暫平

1983年初出 さいとうたかを
リイド社 1~2巻(全34巻)

俺に盗めぬものはない、と豪語する元公儀御庭番だった盗賊の活躍を描いた時代劇。

まあ、簡単に言っちゃうなら江戸版ルパン三世(テレビアニメ)です。

適度にゆるく、お色気ありの、つっこみどころだらけなのがよく似てる。

主人公がどこか二枚目半なキャラなのも近い印象を抱かせますね。

荒唐無稽も辞さず、ってのがある種魅力といえば魅力なんでしょうが、そこで白けてしまうとダメかも。

私のことなんですけどね。

そもそもですね、いくら将軍の許しを得てお役御免になったからといって、元公儀御庭番が盗人として江戸を騒がすなんて許される訳がないし、デタラメとしか言いようのない設定なわけで。

そんなこと元忍びがやりだしたらどう考えても問答無用でお縄ですよ。

幕府の威信にかかわることですしね。

いくら放免されてたとしても、だ。

池を盗め、と依頼されたら、池の水を全部抜いて「盗みました」みたいなオチもいただけない。

とんちじゃねえかよ!って話で。

そりゃ盗めないものはないわ!って。

でもきっと日本人はこういうの好きなんでしょうね。

義賊風のアンチヒーローみたいなのが。

でなけりゃ34巻も連載が続くわけがない。

時代劇には当時の時代背景や文化、その社会性に忠実であってほしい、 と願う私のような意固地な読者にとっては楽しめないシリーズ。

お好きな方たちでどうぞ。

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