2014年初出 福島聡
エンターブレインビームコミックス 全2巻

全部で13話が収録された短編集。
それぞれのお話に関連性はなし。
題材は雑多で、テーマは多岐にのぼります。
福島聡で短編集といえば思い出されるのは「少年少女」ですが、残念ながら本シリーズ、少年少女ほど独特な世界観を有してはおらず、ちょっと拍子抜け。
なんだかどれもこれも尻切れトンボなんですよね。
オチ不在、とでも言いますか。
まあ昔からそうだった、といえばそうではあるんですけど。
ただ、かつての作者なら例え尻切れトンボであってもそうとは感じさせない、不思議な余韻を残すマジックが作品にはあった、と思うんですよ。
でも今回に限ってはまるで魔法のかけ方を忘れてしまったかのような味気なさが目立ってて。
特にひどい、と思ったのが11話「サルビアの密」。
これ、ネットの都市伝説そのままじゃねえかよ、と。
いったいどうしたんだ、と目を疑いましたね。
うーん、賞味期限切れ、とかは考えたくはないんですが・・・。
センスと感性に頼って描き続けてきたこれまでの制作スタイルが転換期にさしかかってる、ってことなのかもしれません。
唯一面白い、と思ったのは表題作でもある6話「ローカルワンダーランド」。
こういうミステリタッチなお話もやれるんならそれが新機軸になるかもしれない、とは思いましたね。
昔からのファンとしては次作での挽回を期待したいところ。