1970年初出 石ノ森章太郎
講談社ペーパーバックKC
仮面ライダーへの道筋をつけた作品として有名な一作。
後に島本和彦が続編を描いてますが、そちらは未読。
元々は100ページほどの中編で、少年マガジンの新年読み切り企画として掲載されたものだったとか。
従来のヒーロー像を打ち壊す新しいスタイルの正義の執行者を、という編集部の依頼によって出来た作品らしいんですが、どっちかといえばヒーローと言うより仮装の殺戮者、といったほうが正解かも。
とりあえずスカルマン、良い行いは何一つしてないです。
狼やコウモリに変化する手下を率いて無差別殺人。
後にそれは復讐の為だった、とわかるんですが、まあ、ヒーローと言うよりはショッカーの幹部と言ったほうが立ち位置的には近いかも。
子供に見せるためのホラーと言うのが念頭にあった、と後に作者は語ってますんで、ひょっとしたらヒーロー云々はスカルマンのデザイン性だけでOKと早合点な解釈をしちゃったのかもしれません。
内容的には仮面ライダーと言うよりは、ミュータントサブのダークサイドを描いた、ってな印象ですね。
まー暗いです。
しかも一切の救いなし。
さぞや子供にとってはショッキングで実に後味の悪いエンディングだったことだろうなあ、と。
ただそれも70年だからこそ言える話で、今あらためて読んでなにか汲み取れるものがあるかというと微妙ではあります。
仮面ライダーと共通するものがないわけではないんですが、これを雛形とするのはちょっと肌合いが違うのでは、と私は思ったりもします。
決して不出来なわけではないですが、期待しすぎると肩透かしをくらうかも。