2015年初出 渡辺潤
講談社ヤンマガKC 1巻(全6巻)

作品の内容とは全く関係ないんですが、私がまず驚かされたのは本作が「代紋TAKE2」を描いてた人の新作だった、ってこと。
きちんと諸作を追ってないんで断言できないんですが、もう、何もかもがまるで別の漫画家みたいじゃないか!と愕然。
てっきり新人の新連載だと思ってた。
絵柄が微妙に変わってる、というのもありますが、なんというか、全然「ノリ」が以前と違うんですよね。
いまだ第一線でやっていくための「若い読者に対する配慮」を第一義とした結果がこれなのだろうか?と憶測を立ててみたりもしたんですが、もしそうならそれは「作家性よりも商品価値」ってことだと思うんです。
もちろん商業誌に連載されてる作品ですから売れてナンボなのは間違いないですが、それにしてもここまで自分らしさを棄ててかかってくるのか、と。
出版不興真っ只中、ヤングマガジンという大看板で連載を持つことの厳しさに立ちくらみを覚えましたね、私は。
なんか漫画文化は一体どこに行くのだろう、と遠い目になってしまったり。
それはさておき。
そこまでやって取り組んだ肝心の作品内容なんですが、まあ、そつなくベテランらしい安定感はあるものの、さてこれが私の心を鷲掴みにしたか、というと決してそうではなくて。
おもしろくないわけではない。
ただね、いまさらクダンという半人半妖の化け物を題材にして、実質やってることはファイナル・ディスティネーションという既視感たっぷりのひねりのなさでは、これ、そうとうストーリーテリングが達者じゃないと間がもたないぞ、と思うわけです。
実際、途中で私はだれてきた。
そりゃね、クダンもファイナル・ディスティネーションも馴染みがない人にとっては新鮮かもしれません。
そこに抱き合わせの妙がないわけではない。
でも、古くからの漫画読者の目をひきつけるほどのものはやっぱりないですよね。
なんかもう最前線で活躍する漫画自体が肌に合わなくなってきてるのかもなあ、と思った読後感でしたね。
否定するものはなにもないんですが、これは私が読むべきシリーズじゃない、とどこか思った1冊。