イタリア 1982
監督、脚本 ダリオ・アルジェント

前作インフェルノの北米での惨敗をうけて、再び母国イタリアでメガホンをとった一作。
サスペリア以前のショッキングなサスペンス路線に回帰してます。
魔女とか超常現象とかはもう勘弁、ってことなのか、それとも周りの圧力があったのか、そのあたりは不明。
初期から追ってる人にとっては実に「らしい」と感じられる内容です。
しかし初期4作でも思ったことなんですが、アルジェント監督はなぜ物語の主人公を必ずイタリアにやってきた外国人にするんでしょうかね?
常に北米のマーケットを意識し続けているということなのか、それとも他の理由があるのか。
今回も主人公はアメリカ人の作家。
主人公の著書を真似て殺人事件が連続する、という本格ミステリのような筋立てなんですが、正直、それほど細部まで練られてはいないなあ、という印象もあり。
あっといわせるオチが待ち構えてはいるんです。
でもそのオチのために、途中で一旦、シナリオの文脈が途切れちゃってるんですね。
別々に進行するストーリーを強引につなぎ合わせたはいいが、そのせいで真犯人の動機とか、そうまでせざるをえなかった深い怨念が描ききれなかった、というか。
観客の予想を裏切ろうとするあまり、後付けの飛躍が過ぎる、と言えなくもないように思います。
ただ、サスペリアで見せつけた新境地ともいえる映像表現を捨て去ってまで回帰しただけはあって、恐ろしく気合がはいってるのは間違いありません。
ショッカーなアルジェント監督を期待する人にとっては溜飲の下がる一品ではないでしょうか。
上述したように気になる点もあるんですが、単に同じことを焼きなおししたわけではない、と感じられることもあり、ファンとしては充分及第点、といったところでしょうか。