2014年初出 畑優衣
集英社YJC 1巻(全3巻)
動物を擬人化して描いた、王国ものアクションファンタジー。
わかりやすく書くなら、早い話がジャングル大帝です。
相原コージの「真・異種格闘大戦」あたりにも近い匂いが。
弱肉強食の世界を中世的世界観で容赦なく残酷に描いた点はおもしろい試みだ、と思ったんですが、私がひっかかったのは、捕食される側であるトムソンガゼルの子供を主役にし、絶対強者であるライオン族との戦いに物語を誘導しようとするシナリオ展開。
これって、幾度となく繰り返されてきたこの手のファンタジーの鉄板だと思うんですよね。
いわば至極少年漫画的。
あえて動物を擬人化して、その社会すら人間世界の模倣とするなら、描かれるべきは動物であることの性(サガ)であり、捕食者と捕食される側の動かしがたい定理でなければならない、と思うんです。
そこにヒロイズムや尊厳、友情なんて入り込む余地はないのでは、という気がするんですね。
1巻を読んだだけですんで断言は出来ないんですが、この路線でストーリーが進行していくなら、キャラが動物である必要はない、と私には思えた。
まあ、難しいところだとは思います。
あまり頑なになりすぎると読者が共感できないでしょうし。
むしろこの設定のまま、食人族王国とそれに戦いを挑む少年の話にした方が、エキセントリックでよかったのでは、と思う私は鬼畜でしょうか。
高い実力のある漫画家だ、とは思ったんですが、私にはちょっと奇抜さが空回りしているように感じられました。