ロストハウス

1993~95年初出 大島弓子
角川書店ヤングロゼコミックス

<収録短編>
青い固い渋い
8月に生まれる子供
ロストハウス
クレイジーガーデン1,2

やはり出色の出来なのは「8月に生まれる子供」か。

突如老化していく奇病に冒された主人公の、残酷にも痴呆が進んでいく有様を作者らしい重くなりすぎないタッチで描いた秀作。

ネタバレになってはいけないので詳しくは書けないんですが、救いはないものの解決の糸口をタイトルに絡めた手腕はお見事の一言。

はっきり言って、似たような題材を扱って話題になった洋画、ベンジャミン・バトン(2008)よりはるかに優れてます。

ベンジャミン・バトンの何が駄目だったのか、この作品を読めばよくわかります。

「ロストハウス」も自分に居場所がないと感じる悩める若い人にとっては響くものがあると思う。

個人的にちょっと鼻につくのが「青い固い渋い」。

主人公のバカさ加減に共感できなくてどうにもこうにも。

うーん、好みの問題かも知れません。 

総じて大島さんらしい短編集でしょうね。

私の知る限りではこれが今のところ最後の創作を集めた一冊のはずです。

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