アメリカ 1964
監督、脚本 セルジオ・レオーネ
マカロニウエスタンブームの火付け役として名高い一作ですが、あらためて今見ても普通におもしろくてびっくりでしたね。
原典は言わずと知れた黒沢明の「用心棒」。
きちんとそれがクレジットされているのがリスペクトを伺えてうれしい感じ。
かつては日本映画にもそんな時代があったのだ、と寂しいやら、誇らしいやら。
用心棒をご覧になったことがある方なら、なるほど、こう翻案したのか、とにんまりしてしまう展開の連続なのではないでしょうか。
実際セルジオ・レオーネは上手に換骨奪胎してると思う。
時代劇を無理矢理西部劇に仕立て直しました、ってなチグハグな印象が全くないんですね。
用心棒自体の脚本に高い自由度があったのだ、といえるのかも知れませんが。
とにかく若き日のクリント・イーストウッドがかっこいい。
個人的にはダーティーハリー以降のくたびれたニヒルな感じが好きなんですが、これはこれであたり役だ、と思えます。
なんといっても見どころは主人公ジョーが右手で引き金を絞ったまま左手で撃鉄をはじいて一瞬のうちに敵ガンマンを瞬殺する決闘のシーンでしょうね。
この緊張感、臨場感は西部劇でしか演出出来ないものだと思う。
金に汚い流れ者を装いながら、無関係の女のために体を張るタフガイぶりも、わかりやすいアンチヒーロー像とはいえ、ぐっ、とくる。
当時大ブームを巻き起こしたのがよくわかります。
もういろんな後続の作品がびっくりするぐらいここから多くのものを盗んで流用してる、と思います。
もはや古典の部類なのかもしれませんが、近年の新作であってすらお手本としている部分はあるのでは、と思えたのが発見でしたね。